糖尿病内科医の備忘録

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【ジャディアンスの腎臓保護の効果!Empagliflozin in Patients with Chronic Kidney Disease, N Engl J Med . 2023 Jan 12;388(2):117-127.】

本当にジャディアンス®はいい薬💊!

論文名「Empagliflozin in Patients with Chronic Kidney Disease」という論文をご紹介いたします。2023年1月に世界一の医学専門論文雑誌の「The New England Journal of Medicine」に採択されたジャディアンス論文です。商品名ジャディアンス(一般名:エンパグリフロジン)はSGLT2阻害薬という尿から糖分を出すことで血糖値を下げるお薬です。

 この論文は医学的根拠(エビデンス)の高い「二重盲検ランダム化比較試験」で解析を行っています

 重要な論文なので、是非がんばって最後までご覧くださいませ(お任せしますが笑)

製剤写真:ジャディアンス錠10mg

補足

二重盲検ランダム化比較試験とは?

・二重盲検とは?

 まず、「二重盲検」とは試験デザインの一種で、治験実施に関わるすべての人間(医師も患者様も)が、どんな薬を投与するのか一切知らずに行われる治験方法。 新薬の治療効果・有効性を確かめるための比較試験として最も一般的な方法であり、二重盲検比較試験とも言われます。(つまり、医者も患者様も見た目は同じ薬を処方し、処方されているので、そのお薬の成分は全くわからない!ただの成分だけを抜いた安全な粉かも…。それを「偽薬:プラセボと言います」。しかも、研究の補助している回りにいる事務の人ですら分からない!)

 

・ランダム化比較試験とは?

 「無作為化比較試験」とも言われます。 複数の治療法の効果を比べるときに、患者様をくじ引きや乱数表など、ランダム化と呼ばれる手法を用いて、グループ分けを行う試験のことです。 グループ分けに研究者の主観などが入り込まないため、得られた結果は信頼性が高いとされています。

新宿内科 糖尿病・生活習慣病クリニックの7つの強み 

 

 

 論文名「Empagliflozin in Patients with Chronic Kidney Disease(略称:EMPA-KIDNEY 試験)」「The New England Journal of Medicine」という世界トップレベルの医学論文雑誌で発表された論文です。

 

略称:EMPA-KIDNEY 試験

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2204233

www.nejm.jp

 

 この研究は、「糖尿病患者における心血管および腎臓のアウトカムを評価するための臨床試験であり、ジャディアンスの効果を評価するため」に行われました。

 

 EMPA-KIDNEY試験の結果によれば、「慢性腎臓病が進行するリスクのある多様な患者において、ジャディアンス治療によりプラセボと比較して腎臓病の進行、または心血管系の原因による死亡のリスクが低くなった」という報告がされました。

 

 しかも、推算糸球体濾過量(eGFR)が 20 mL 以上 45 mL 未満/分/1.73 m2 体表面積というかなり腎機能が悪い方で研究が行われても、良い結果の出たエビデンスレベルの高い論文です。

 

 これまで、腎機能が悪いと尿糖が出にくくなるから血糖値には効果が少なくなってくると言われてきており、比較的腎機能が悪い方にはジャディアンスのようなSGLT2阻害薬は処方しない先生も多かったのです。

 

 同じSGLT2阻害薬の中のカナグル(一般名:カナグリフロジン)なども腎障害の悪化を防ぎ透析への移行を防ぐことや心血管系の死亡リスクも減らす論文が多数でているので、「SGLT2阻害薬は血糖が下がりにくい腎障害の人でも使用をした方がよいかもしれない」ということになってきました。

 

 論文に100%ということはありませんが、厳密に行わないとしばかれるアメリカの論文での医学的根拠の高い論文が増えてきています。

 

 わけわからないテレビCMの小さな文字で「※個人の感想です。」って書かれているサプリメントよりよっぽど信用に値する論文です。(いや本当に)

 

 セサミ◯プラ◯とか、こんな凄い実験・解析をしていると思いますか!?高いし…。騙されていては駄目です。ほんまで◯かTVなどのTVショーが言っている発言の半分が嘘という論文ですら出ているのです。(信じるか信じないかはあなた次第!)

 

 本題に戻ります。

 

 これらの結果は、ジャディアンス(SGLT2阻害薬全般かもしれない)が糖尿病患者において腎保護効果を持ち、腎機能の改善や腎疾患の進行の抑制に役立つ可能性があることを示唆しています。

 

 今後、ジャディアンスの適応症に慢性腎不全が入る予定です。現在のエンパグリフロジンの添付文書には以下の通り適応症が書かれています。まだ「慢性腎不全」がはいっていません。

 

 次々とでる新しいお薬を勉強して、確かなエビデンスの論文を見つけて患者様の健康寿命を伸ばすことが医師の使命と思います。

 

 な〜んてカッコつけましたが、謙虚に真面目に勉強して頑張ろうと思います。

 

以上!!

 

糖尿病内科医の備忘録でした〜。

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新宿内科 糖尿病・生活習慣病クリニック(新宿駅徒歩3分・西新宿駅徒歩2分)

統括院長 松谷 大輔拝

 

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