糖尿病内科医の備忘録

〜心筋梗塞・脳梗塞にならない知識🖋を届ける〜

【メトホルミン+グリメピリドを内服されている方はぜひ最後までお読みください】

今回の論文は「米国糖尿病専門医学雑誌 Diabetes Care 2023年3月」から興味深い論文が出ましたので報告いたします。

 これまで心臓に悪さをすると論文で言われていたスルホニルウレア(SU薬)…!しかし!メトホルミンを内服している2型糖尿病患者に「SU薬」追加しても心筋梗塞脳卒中などの心血管イベントを増加しない!」

という、論文がでた!

 

 

 

 

グラフ:予後はメトホルミンに、SUやDPP4阻害薬やTZD(チアゾリジン)を加えても心筋梗塞脳卒中のリスクは変化しなかった!

(補足:多変量Cox比例ハザード回帰および優位な変数(IV)アプローチを用いて、ランダム化比較試験における無作為化プロセスと同様の方法で、交絡因子を調整済み
→理解しなくていい。年齢、性別、血糖値などの因子を補正したということ。)

 

 

 

 

 

 

メトホルミン+グリメピリド(SU薬)は予後を悪化させない🔥

 

 

 

 

 

2型糖尿病の中で「SU薬」を内服している方は多いと思います。代表的な薬剤は以下です。

 

・商品名:アマリール®、後発品:グリメピリド

・商品名:グリミクロン®、後発品:グリクラジド

・商品名:オイグルコン®、後発品:グリベンクラミド

 

 

 

 

 

経口血糖降下薬 スルホニルウレア(SU)薬の種類

 

 

 

 

 投与の対象者はインスリン分泌能が低い膵臓が弱っている患者様」で、「SU薬は、膵臓からのインスリン分泌を強くする効果のある薬剤」です。

 

 

 

SU薬は膵臓にムチを打って、インスリンを一定の量を出し続けさせる、
比較的強めの経口血糖降下薬

 

 

 

論文名:「Cardiovascular Safety in Type 2 Diabetes With Sulfonylureas as Second-Line Drugs: A Nation-Wide Population-Based Comparative Safety Study」Diabetes Care. 2023 Mar 21;46(5):967-977.

 

日本語 論文名:「2型糖尿病におけるSU薬の第2選択薬としての心血管イベントの安全性:全国規模の人口ベースの比較安全性研究」

 

 

いつもどおり結論から🔥

 

 

【結論】

 本研究では、メトホルミン単剤療法を受けている2型糖尿病患者がSU薬を第2選択薬として使用した場合、心筋梗塞脳卒中などの心血管リスク」「全死因死亡」の増加の可能性は低いことが示されたんです!

 

 SU薬の「強力な効果、微小血管への利益、費用対効果の高さ、広範な使用」を考慮すると、この研究はSU薬が世界の糖尿病治療ポートフォリオの一部として維持されるべきであることを支持しているとのこと!

 

うおーーーーーーーーーー!🔥これは非常に大事な論文かと思います。

 

 

 というのも、非糖尿病内科医は血糖低下の効果が強い為、SU薬をしょっちゅう処方しますが処方用量をミスし、「日本では低血糖での死亡率が世界一レベルで高いのが事実」です。

 

 

 SU薬による低血糖入院を何度入院で治療したか数え切れません…。

 

 

 SU薬は低血糖にならないように糖尿病内科医のみが処方すべき経口血糖降下薬だと思います。

 

 「食事を食べられなくて、間違ってSU薬を内服しちゃっても低血糖にならない。」

 

 

 「SU薬は糖尿病内科医だけが処方する薬」と思います。

 

 

 SU薬は非常に安く、血糖降下作用は強く正しく使えば効果は絶大。

 

 

 そのため、金銭的に高価なGLP1受容体作動薬やDPP4阻害薬やSGLT2阻害薬が処方できない地域も日本にはたくさん存在します。

 

 

 血糖値は低下させ、予後を増悪させなければそれはそれでいいのです。

 

 

 SGLT2阻害薬などが予後を改善させるという軌跡の薬であって、血糖値を安全に下げるSU薬は低血糖さえ起こさなければ、使用しない患者様は相対的に死亡率は低下しているとも思います。

 

 

 SU薬を使うときの注意点は低血糖を絶対に起こさないように慎重に調整すること」です。

 

 なんて、また勉強してみました。

 

 

 糖尿病の方の知識の一部になれば幸いに存じます。

 

 

 それではまた!

 

 

新宿内科 糖尿病・生活習慣病クリニック(新宿駅徒歩3分・西新宿駅徒歩2分)

統括院長 松谷 大輔拝

 

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