糖尿病内科医の備忘録

〜心筋梗塞・脳梗塞にならない知識🖋を届ける〜

「エビデンスレベル(医学的根拠)を知らずして健康増進なし!テレビCMを信じるな!」

よくYoutubeTwitterなどのSNS「これだけを食べていればそれで健康になれる!」という謎の情報が流れていること、医学の世界とは全く関係のない方が健康本を販売していたりします。「本当に医学的に根拠のある事実だと思いますか?」今回は医学において、非常に大事なエビデンス(医学的根拠)」について解説いたします。

 

 サプリ関係も同じです。「このサプリを飲めば健康!」などの胡散臭いCMが流れていたりします。しかも、そのような企業は「圧倒的に安くて安全なお薬」の10倍以上の値段で高齢者の財布を狙っています。

 

 
 医療現場では「医学的根拠レベル(以下、エビデンス)が非常に重要視されます。」

 


 そういったエビデンスの低い情報には惑わされないようにしなければなりません。

 


 そこで今回のブログでは、医療におけるエビデンスレベルについて解説をしようと思います。

 


 日本では、さまざまな団体がエビデンスレベルの基準を作成していますが、当ブログでは日本の「診療ガイドライン作成の手引き」で採用されている基準を提示します。

 


 研究の吟味において「重視される研究方法をわかりやすいように類型化して、信頼度の目安を作った」のが、「エビデンスレベル」と呼ばれるものです。なんだか日本語が難しいですね。すみません。。。

 


 エビデンスレベルはこのようなピラミッドで表されることが多いです。

 

 

 

 

医学研究のエビデンスレベルピラミッド

 



 
 「ヒトが関与するエビデンスレベル1~6」に加え、「ヒトが関与しないエビデンスレベル6未満」まで存在します。

 


 レベル6より下のエビデンスレベルはヒトを研究に用いず「動物や細胞」を用いた研究形式です。

 


 これらのエビデンスレベルについて説明します。

 


 もっともレベルの高いエビデンスレベルの研究方法から順に解説して行きます。

 


 少し難易度が高いですが、健康に変えられない知識となりますので是非、最後までお読み実学の一部にしていただけますと幸いです。

 


レベル1:「システマティックレビューとメタ解析」


●システマティックレビュー
 

 ランダム化比較試験(エビデンスレベル2)などの、質の高い複数の臨床研究を、複数の専門家や研究者が作成者となって、一定の基準と一定の方法に基づいてとりまとめた総説のことをいいます。
 

 

 具体的には、以下の流れです。
「明確で焦点が絞られた疑問から出発」
→「網羅的な情報収集を行う」
→「集められた情報を批判的に吟味」
→「それらの情報を要約する」
という手続きがとられます。

 


 システマティックレビューには、同時に「メタ解析」という解析を行っているものもありますが、その違いを理解しておくことが重要です。

 


 メタ解析の作成方法が「”必ずしも”エビデンスに基づいていない」のに対し、システマティックレビューはエビデンスに基づくことが”必須”である」という点です。
 

 

 また、メタ解析では、「結果のまとめ方が定量的であることが必須である」ことに対し、システマティックレビューでは「批判的吟味という過程を重視しており、定量的に結果を表すかどうかは問われません。」

 


 ランダム化比較試験を統合再分析しているコクラン*1共同計画の論文は、すべて「システマティックレビュー」と呼ばれています。

 


 コクランは、「医学的研究を体系的にレビュー・要約し、信頼性の高いエビデンスを提供するための国際的な非営利組織」です。

 


 医師、看護師、患者、介護者、研究者、資金提供者に関係なく、「コクランが提供するエビデンスは、医療知識と意思決定をより良いものにする強力なツール」となります。
 

 

 コクランには、世界130カ国以上に 1万以上のメンバーおよび6万人以上のサポーターがいます。

 


 コクランのボランティアや貢献者は研究者、医療専門家、患者、介護者、そしてあらゆる場であらゆる人々の健康増進に熱心に取り組む人達です。

 


 コクランは、人々が十分な情報を得たうえで治療を選択できるように、約30年(2023年5月11日現在)にわたり、独自の世界規模ネットワークを通じて、研究から得られた最良のエビデンスを収集、要約しています。

 


 コクランは、営利目的や利益相反のある資金の提供を受けていません。商業的・金銭的な利益からくる制限を受けることなく、自由に活動を展開し、権威と信頼のある情報を生み出すことが、コクランにとって何よりも重要なことなのです。
 


 コクランの2020年頃からの戦略目標は、コクランのエビデンスが世界中で「健康上の意思決定の核」となることです。 
 

 

 話がコクランにずれましたが「メタ解析」について詳しく解説します。
 

●メタ解析

 メタ解析とは過去に独立して行われた複数の臨床研究のデータを収集・統合し、「統計的方法を用いて解析」した系統的総説のことです。

 

 
 採用するデータは、信頼できるものにしぼり、それぞれに重み付けを行います。

 


 一般的には、様々な試験の要約統計量を用いますが、生データを結合して解析する場合もあります。

 

 
 主観的な判断や評価は含まれていない「叙述的(じょじゅつてき)*2な総説」とは異なり、「体系的、組織的、統計学的、定量的に研究結果をレビューするという特徴」があります。
 

 

 「メタ解析(エビデンスレベル1)」は、以下の場合に有用であるとされています。


① 複数の研究で得られた効果が一致しない場合
② 個々の研究の標本サイズが小さく有意な効果を見いだせない場合
③ 大規模レベル研究が経済的・時間的に困難な場合

 


 医学分野では、対象や研究方法が多様で、各種のバイアス*3が入りやすく、また研究の質のばらつきが大きいのが問題点です。

 


 例えば、「公表論文は、有意な結果のみが発表されることが多い」です。

 


 これは「研究者がポジティブな結果が出たときにのみに発表する”報告バイアス”」や、「学会誌等の編集者が、統計学的に有意な結果の得られていないものはリジェクトする”出版バイアス”」のためです。

 


 このため、単に報告を集めるだけでは、ポジティブ方向へバイアスがかかるという懸念が指摘されています。

 


 また、「質の低い論文を他の優れた研究成果と同等に評価対象としてしまう」「過大評価」することになります。

 


 メタ解析では、バイアスの影響を極力排除し、評価基準を統一して客観的・科学的に多数の研究結果を数量的、総括的に評価しようとしています。

 

 
 メタ解析は、複数の研究を統合して統計解析を行う手法であることから、個々のランダム化比較試験(エビデンスレベル2)の質や均一性に影響されます。

 


 そのため「必ずしも、ランダム化比較試験よりも上位に位置するわけではなく、相互補完的に臨床的知見を構築していくものとして考えるべき」という意見もあります。

 


レベル2:「ランダム化比較試験」


 介入・治療など、ある試験的操作を行うこと以外は、公平になるように対象の集団を無作為に複数の群、例えば①「治療薬で介入する群」と「治療をせず観察のみの郡」や、②「通常+新治療薬を行う群」と「通常の治療のみの群」などに分け、その試験的操作の影響・効果を明らかにするための比較研究です。

 

 


 群分けをランダムに行うのは、「背景因子の偏り、バイアスをできるだけ小さくするために、コンピュータで乱数を発生させ、割り付け表を使用する方法」が望ましいとされています。

 

 

 くじ引きやサイコロの使用、患者番号などでの割り付けは完全に間違いではありませんが「準ランダム化」となり、「真の意味でのランダム化」とはなりません。

 


 「無作為に研究対象の患者様を割り付けることにより、両者の性質が均等になることが見込まれる」ため、「二つの群の性質の違いが結果に影響を及ぼす可能性が少なく」「非ランダム化比較試験(レベル3)よりも高いエビデンスレベル」であるとされています。

 


レベル3:「非ランダム化比較試験」


 臨床研究では一般的に、「治療を行う治療群」「対照群」の2つに分けて比較検討します。


 治療法の効果を比較するために、患者さんのグループ分けをする際、乱数表やくじ引きやサイコロの使用など用いた作為性を排除するための「ランダム化の手法を採用しない研究」のことです。

 


 「対象者のグループ分けに試験実施者の作為性が入り込む可能性がある」ため、「結果の信頼性は低く」なります。

 

 

レベル4-a:分析疫学研究「前向きコホート研究」及び「後ろ向きコホート研究」


 コホートという言葉は、疫学用語では「一定期間にわたって追跡される人々」という意味で用いられます。

 


 コホート研究とは、「病気の発生に影響を与えると仮定される要因に曝露されている集団」と「暴露されていない集団」とで、病気の発生状況の差を比較する方法です。


①「前向きコホート研究」と②「後ろ向きコホート研究」の2つに分類されます。


①「前向きコホート研究」
 「研究開始時から原因因子に曝露されているか否かで、それぞれの集団で将来どのような病気が発生していくかを追跡」します。


 例えば、「現在の喫煙習慣と血圧を調べ、同一集団の 10 年後の喫煙習慣と血圧を調べて両者の関連を分析する」といった研究です。 
 

②「後ろ向きコホート研究」
 「研究時現在までに生じた病気や異常を検討する研究方法」です。


 前向きコホート研究と同様に、「時間軸に沿って研究対象者を観察」しますが、「観察、アウトカムの測定はすでに過去に完了している点」が前向きコホート研究と異なります。


 後ろ向きコホート研究は、診療カルテやレセプトデータを用いることで実施できます。


 ですので、患者様に同意をとり過去のデータを解析して論文を出す研究者が非常に多いです。しかし、後ろ向きコホートエビデンスレベルは解析法としてそこまで高くないので、患者数がものをいいます。例えば10万人全国レベルの数が必要となります。一つの病院での後ろ向きコホート研究ではエビデンスレベルが高いとは言えません。


 話を元に戻します。


 後ろ向きコホート研究は、測定データはすでに得られていることから、「研究にかかる時間やコストは前向きコホート研究と比べて少なくて済む」という利点がありますが、全てのデータの測定が過去に完了しているため、データの欠損やデータのどがしばしば問題となります。
 
 
 繰り返しとなりますが、情報の信頼性としては、過去にさかのぼって検討する「後ろ向きコホート研究」よりも、これから発生する事象を観察していく「前向きコホート研究」の方が高いと言えます。


 しかしながら、「前向きコホート研究」では以下の欠点があることも事実です。
①追跡できなくなる対象者が出てくること
②調査期間が長い
③費用や労力が大きい
④多くの施設で実施が困難

 

 

レベル4-b①:「分析疫学研究 横断研究」


 分析疫学研究には、以下の2種類があります。

 

①「時間経過を伴わない”横断”研究」
②「時間経過を伴う”縦断”研究」

 

 「横断研究」はある集団のある一時点での、「健康障害の有無と要因の保有状況を同時に調査し、関連を明らかにする方法」です。

 


 「横断研究」は覚えておいてください。実際、大学生などが行っている臨床研究の多くは横断研究やこれ以降に説明するエビデンスレベルの研究が多いです。

 


 私が日頃からご紹介している論文のほとんどは、トップクラスのエビデンスレベル1または2の論文がほとんどですので、ある程度の信頼はあると思いますのでご安心頂けたらと存じます。主観を入れず、事実を報告しているだけです。主観を入れますと、この後記載します「エビデンスレベル6」となります。注意しようと思います。

 


 話を元に戻します。

 


 例えば、「"ある一点"での喫煙習慣と血圧の関係を分析する研究」は横断研究といえます。ある一点です。喫煙していた期間は無関係です。何年吸っていたかという情報が抜けているのです。

 


 横断研究は「病気と要因の"時間的な前後関係が不明"」なため、因果関係の推測が困難なことがこの解析研究方法の限界でもあります。

 


レベル4-b②:分析疫学研究、症例対照試験


 症例対照研究は「=ケースコントロール研究」とも呼ばれ、「研究対象となる疾患にかかった人たちの集団」「罹患していない集団」について、特定の要因にさらされた状況を調査し比較することで、「要因と疾患の関連を検討する研究手法」です。

 


 例えば、「肺がん患者」「肺がんではない患者」について、「喫煙習慣が肺がんの発症に関連しているか?を過去にさかのぼって検証する」といった研究方法です。

 


 追跡を必要としないため短時間で結果を得ることができますが、過去にさかのぼって要因を思い出してもらう必要があるため「結果に偏りが生じやすく」、「対照群の選定においても偏りが生じることが多い」のが欠点です。

 


レベル5:記述的研究(症例報告、ケースシリーズ)


 単純に「現状のデータの記述のみの研究」のことで、「非実験的研究」「非比較研究」とも呼ばれます。

 


 比較対照群は置かないので、対象の割り付けを行っておらず、「症例報告」や「ケースシリーズ研究」がこれに相当します。

 


 ある疾患患者についてその属性や発生時期、発生場所について整理し、記述することにより「問題」や「仮説の発見」につなげることができます。

 


 19世紀前半にイギリスの医師「ジョン・スノウによりコレラ患者の地理的な分布から手押し井戸ポンプが発生源であることを突き止め、拡大防止に成功した」という記述的研究の事例が有名です。

 


レベル6:専門家個人の意見(専門家委員会報告を含む)


 専門家の意見はあまり信頼に値しないと言われております。

 

 
 テレビや本に出てくる「専門家らしき人」が、なにか断定的なことを言ったとしても、エビデンスレベルの高いデータの裏付けがなければ、その人の「独自見解」にすぎないからです。

 


 「臨床家の実感」や「長年の経験」も同様です。

 


 さらに、「データの裏付けが必要」と知った上で、素人には判断のつかないデータを列挙し、「専門家のふり」をして発言する人もいるから注意が必要です。

 

 

 CMでのわけのわからないサプリメントが良い例です。

 

 

 ここまで読んでいただいた方は、「テレビCMの謎のサプリメントエビデンスレベルが高い研究がされているわけがなく、ただの高く効果の保証されていない商品」と理解できていると思います。

 


 医療従事者としては、「許せない」の一言です。

 

 

 そもそも、「何をもって専門家というのかはっきりしないという問題点」も存在します。

 


 私自身も当てはまるでしょう。

 

 

 普通に考えて、糖尿病の患者様をたくさん診察しているから専門家なのか?医師免許を持っているから専門家なのか?専門医試験に通っただけで専門家なのか?だれにもわかりません。

 


 ですから、私は客観的に主観を入れずに、エビデンスレベルの高い論文で知識をつけ患者様へ最適な治療をご提案したいのです。

 

 

 この発信も、下手するとエビデンスレベル6の「専門家個人の意見」になってしまう可能性がありますので注意して、ブログを書くようにしています。

 


 日本語の医学教科書の作成にはあまりにも時間がかかります。つまり、発売されるころには古い治療になっているリスクがあります。

 

 

 また、一個人の意見、つまりエビデンスレベル6が盛りだくさんに書かれているリスクすらあります。

 


 僕は客観的にエビデンスレベル1、2の「システマティックレビューやメタ解析」や大規模な「ランダム化比較試験」を重視して、客観的かつ主観を入れずにご報告しております。

 


レベル6未満:「動物レベルでの研究」と「試験管内での研究」


 「新しい検査法」や、「治療法の有効性や安全性」などを調べるため、細胞の成分、培養した細胞、動物などを用いて行う実験のことで、「前臨床試験ともいいます。

 


 ヒトを対象とした臨床試験を科学的かつ倫理的に適正に実施するために事前に行われる重要な研究です。

 


 皆さんがご存知の山中 伸弥(やまなか しんや)教授はiPS細胞の権威であり、成熟細胞が初期化され多能性をもつことを発見したことにより、2012年のノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

 


 再生医療は、幹細胞等を用いて、臓器や組織の欠損や機能障害・不全に対し、それらの臓器や組織を再生し、失われた人体機能の回復を目指す医療のことです。

 


 既存の医薬品では治療が難しいものや、治療法が確立されていない疾患に対して新たな治療法となる可能性があります。

 


 このようなエビデンスレベルが6未満でも山中教授のような「ヒトを対象とした臨床試験に還元される重要な研究がある」一方で、「臨床研究に進むには危険すぎる」、もしくは「意味のない基礎研究が多々存在していること」も事実です。

 


 そして研究費が莫大にかかり、更に臨床応用までいかないことも多いことも欠点の一つです。

 


 しかしながら、医学の発展にはレベル6未満の「前臨床試験」が極めて重要であることには異論の余地はありません。

 

 

【まとめ】


 エビデンスレベルとは、研究の分類による結論の強さの一般的傾向を順位付けしたものであり、研究の他の要素によってもその結論の強さが影響されることにも留意して、総合的に評価する姿勢が必要です。

 


 更に、高いレベルのエビデンスがあれば信頼できるというわけではありません。

 


 例えば、「研究デザイン、つまりエビデンスレベルが高くても海外の研究しかなくて、遺伝的な違いなどから日本人には当てはまらない」とも考えられます。

 


 逆に、エビデンスレベルの高い研究がないからといって、「エビデンスレベルの低い研究結果が信頼できないわけでもありません。」

 


 このような場合であっても、「さまざまなエビデンスレベルの研究で一致した結果が出ていて、生物学的な検討からも、それらの結果を支持すると考えられる場合には、十分エビデンスレベルは高め」と考えられます。

 


 なんてまた偉そうにブログを書いてみました!

 

 

 ではまた!

 

 

新宿内科 糖尿病・生活習慣病クリニック(新宿駅徒歩3分・西新宿駅徒歩2分)

統括院長 松谷 大輔拝

 

【クリニック情報】

ホームページ

shinjuku-naika.clinic

ネット予約

当院の強み

診療案内

アクセス

医師紹介

お問い合わせ

*1:コクランは、医学の研究をまとめてわかりやすく説明し、信頼できる情報を提供するグループです。彼らは、さまざまな治療や予防法、診断方法など、医療のさまざまな分野についての研究を評価します。

 

 

 コクランが重要な仕事の1つとして行っているのは、コクラン・データベースの運営です。このデータベースには、医学の研究のまとめや評価が集められています。医者や研究者は、最新のエビデンス(科学的な根拠)にアクセスして、医療に関する意思決定をサポートすることができます。

 

 

 コクランの目標は、信頼できる情報を提供して医療の質を向上させることです。そのため、多くの国や組織がコクランと協力して、医学の研究やエビデンスの普及に取り組んでいます。

 

 コクランの仕事は、医療の意思決定を支援し、患者のケアの質を向上させるためにとても大切な役割を果たしています。

*2:「叙述的」とは、情報や文章が事実や現象を単に描写することを意味します。

 

 
 叙述的な表現や文は、客観的な情報や出来事を伝えることに重点を置いており、主観的な判断や評価は含まれていません。

 


 叙述的な表現は、客観性と客観的な観察に基づいていることが特徴です。

 

 
 具体的な事実や現象、出来事の詳細や順序、特徴的な要素などを伝える際に使用されます。

 


 叙述的な文章は、物事の起こりや経過、場所の描写、人物の特徴や行動などを客観的に伝えるために使われます。

 

 
 例えば、次の文章は叙述的な表現の例です。

 

 
 「彼は部屋に入ってきて、青いシャツを着ていた。彼はテーブルの上に本を置き、椅子に座った。そして、静かに本を読み始めた。」

 

 
 この文章は、人物の行動や状況を客観的に描写しています。個人の意見や評価は含まれておらず、客観的な事実だけが述べられています。

 

 
 叙述的な表現は、情報を明確かつ客観的に伝えるために重要です。

 

 
 一方、主観的な評価や意見を伝える場合には、「評価的な表現」という別のスタイルや手法が使用されます。

*3:医学論文のバイアスとは、医学の研究や結果を報告する際に生じる情報の偏りや歪みのことを指します。

 

 

 バイアスは、研究のデザインや実施、データの解釈などの段階で発生する可能性があります。

 

 

 医学論文のバイアスの例としては、以下のようなものがあります。

 

 

「選択バイアス」


 研究対象を選ぶ際に特定の条件を満たす人々を選んだり、特定のグループに限定したりすることで、結果が偏ることがあります。

 

 

「情報バイアス」


 研究結果を得るための情報収集方法に偏りがあったり、データの収集や解釈において主観的な判断が入ったりすることで、結果が歪められる可能性があります。

 

 

「出版バイアス」


 研究結果が特定の方向性を持つ場合、それが注目されやすくなり、それ以外の結果が報告されなかったり、掲載されにくくなることがあります。

 

 

「言語バイアス」


 研究結果を報告する際に、統計的に有意な結果のみを強調し、非有意な結果や逆の結果を隠すことで、結果が偏った印象を与えることがあります。

 

 

 これらのバイアスが存在すると、医学論文の結果や推論が信頼性を失ったり、正確な情報ではなくなったりする可能性があります。

 

 

 そのため、医学論文を読む際には、研究のデザインや方法、結果の解釈にバイアスがあるかどうかを注意深く考える必要があります。