糖尿病内科医の備忘録

〜心筋梗塞・脳梗塞にならない知識🖋を届ける〜

【マンジャロの減量効果よくわかった。ロイター通信でニュースになり、そして、厚生労働省は怒っている。なぜか。】

さて、マンジャロの減量パワーは、アメリカ糖尿病学会で2023年は大いに盛り上がったようです。

皆さんご存知、「メタボリックドミノ」

 

 

 

 

メタボリックドミノ
多くの病気は「肥満」から始まる。

 

 

 

 

 そうです、どう考えても何をどう考えても心血管疾患(心筋梗塞脳卒中)の要因の大元は「肥満です。

 

 「わかってるよ」

 

 「今更、何を言うんだ」

 

 「耳が痛いよ」

 

 良く分かります。

 

 なぜなら、「自分も肥満に悩み続けて、痩せたり太ったりの人生だから」です。

 

 医師も当然同じ人間。食べたいときもあります。同じ人間ですもの。

 

 身体の構造、思考回路、食欲は同じ。

 

 話を戻します。

 

いままでの治療は以下の様でした。

糖尿病→「血糖下げればええやん!!!」→根本的に肥満を解消していないから、臨床研究であまり良い結果出ず…。

高血圧→「血圧値を血管広げる薬とかで下げればええやん!!!」→全体的な根本の解決になっていない。

脂質異常症→以下同郡…。

 

もう一度、メタボリックドミノを見てください。

 例え…

脂質異常症だけを治療」

「糖尿病だけを治療」

…しても、横からドミノは倒れてしまい大病を患ってしまうのです。

 

 マンジャロくんはどうなんでしょうか。

 

 ドミノの最初に君臨してる「肥満ドミノ」をブロックするのです。

 

 アメリカ人は尋常じゃなく肥満症が多い。

 

 BMI 30以上(例:170cmの人だと86.7kg、160cmの人だと76.8kg)で2019年にとった統計です。日本、4%!!低い!!

 

 

圧倒的なアメリカ肥満一位
一方、想像通りではあるが日本はこの統計では一番少ない比率。

 アメリカ合衆国の肥満率は悲劇的に高いのです。

 

 だから、ロイター通信も報じているように「後期臨床試験で、体重マイナス26.6%!」と記事を書いています。

 

 「2型糖尿病ではない肥満の方に投与した結果」です。

 

 

jp.reuters.com

 

 アメリカ人のスタートの体重が比較にならないので、日本人はここまでの減量率の結果は出ないかもしれませんが、「痩せることに間違い無い」と思います。

 

 

 

 そして「2型糖尿病を発症する前に肥満を解消して、糖尿病・生活習慣病ドミノに到達させない」

 

 そして、患者様を苦しめ、医療費を圧迫する「心筋梗塞脳梗塞、透析」は減っていくことになるでしょう。

 

 そう思います。

 

 さて、2023/07/31 現在日本の保険診療では「2型糖尿病」の治療薬として使用される薬剤です。

 

 なのに、美容クリニックが「マンジャロを自費診療で処方しまくっているおかげさまで、2型糖尿病患者様にお薬が届かなくなっています。」

 

 ということで厚生労働省から、日本糖尿病学会宛に、以下の様な通達が来ました。

厚生労働省が、静かに怒ってます。
「そもそも2型糖尿病を患っている人、そして糖尿病に限りなく近い肥満で危ない方」
 を対象に研究され発売された薬剤。

 

 医薬品卸売販売業者の方から「2.5mg、5.0mgの在庫はあるが、7.5mg、10mg、12.5mg、15.0mgの在庫が薬局にかなり少なくなってきている(2023/07/31現在)」と実際に聞きました。

 

マンジャロのラインナップ

 

 これって本当に変な話だと思います。

 

 もちろん45kgくらいのモデルの方が、仕事の都合で更に痩せるべく自費でマンジャロのような糖尿病のお薬を使う理由、目的は分かります。

 

 しかし、本当に遺伝で100kgになってしまい、糖尿病になってしまい、このままだと透析・失明・心筋梗塞になってしまう方もいるのです。

 

 「怠惰なだけだろ。」と思われる方もいると思いますが、本当に減量が難しい方には最後の砦(とりで)なのです。

 

 はい、当院は糖尿病・生活習慣病専門のクリニックです。

 

 よって、

 

「当院では自費診療でマンジャロ肥満外来、始めております。」

 

 でも…。

 

 大変申し訳ございませんが、「流通の問題もありますし、何をやっても遺伝的・メンタル的に食事運動減量が難しく、このままだと糖尿病になってしまうかもしれない。」

 

 つまり、「メタボリックドミノが倒れて、次々とドミノが倒れ始めている方」に限り自費診療をしております。

 

 このままだと、膵臓というエンジンが壊れてしまう…。腎臓も壊れてしまう…。そのような懸念がある方です。

 

 キチンと血液検査をして、2型糖尿病であれば保険診療として治療します」し、2型糖尿病の診断ではない場合は、まずはマンジャロ等のお薬による医療自費ダイエットを選択する前に、食事運動療法を指導をします。」(※もしくは、話を聞いてこれまで散々ダイエットしてきたが、心身的に疲れて減量不可能と医師が判断した場合)

 

 「多くの方が食事運動療法を間違っており、指導を重ね少しずつ減量していき、それでもこのままだと確実に健康を害する(心筋梗塞脳卒中になる)場合に、自費診療をご提案すること」にしております。

 

 お願いです。

 

 2型糖尿病の方が本当に本当に困るので、「自費診療を行っている糖尿病を中心に診察しているクリニック以外の異常な在庫保持」はやめていただきたい。

 

 2型糖尿病治療をしている医師の治療の選択肢が少なくなるのです。

 

 つまり間接的に2型糖尿病さんを苦しめていることになります。

 

 以上

 

 今回は、2型糖尿病患者様の治療選択肢を守るために書かせていただきました。

 

新宿内科 糖尿病・生活習慣病クリニック(新宿駅徒歩3分・西新宿駅徒歩2分)

統括院長 松谷 大輔拝

 

【クリニック情報】

ホームページ

shinjuku-naika.clinic

ネット予約

当院の強み

診療案内

アクセス

医師紹介

お問い合わせ