糖尿病内科医の備忘録

〜心筋梗塞・脳梗塞にならない知識🖋を届ける〜

【勉強会:新薬「efpeglenatide(エフペグレナチド) = GLP-1受容体作動薬の心臓と健康への影響!!!今更…。⭐2021年6月号⭐】

新しい薬GLP-1受容体作動薬(週1回皮下注)efpeglenatide」の心臓・腎臓の予後への効果がすごい( ゚д゚)ハッ!かも?

米国糖尿病学会学術集会で発表された「AMPLITUDE O試験」の結果を簡潔にお伝えします!

元論文は↓(英語が読める方は無料で読めます)

【論文タイトル】

Cardiovascular and Renal Outcomes with Efpeglenatide in Type 2 Diabetes

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2108269

 

Pubmed:論文のポータルサイト。論文界のgoogle検索エンジンみたいなもの】

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

 

「efpeglenatide」をカタカナに変換すると、「エフペグレナチド」になります。

 

 

 

 相変わらず、どういうセンス?っていう読みにくさ…

 

 

 

 

同じくらい読みにくく感じるぜ!



 

 

 エフペグレナチドは、2型糖尿病の治療に使われるお薬でGLP-1受容体作動薬と呼ばれます。

 

 

 

 「GLP-1受容体作動薬のエフペグレナチドは、新しい糖尿病治療薬の一つで、今回の論文の結論は端的に言えば「心臓と腎臓の健康に、良い影響を与える可能性のある薬」かもしれないという結論です。

 

 

 

 この試験は「2型糖尿病患者を対象」に行われ、「心臓病歴のある患者や、一定のリスク要因」を持つ「4,076人の患者」が参加しました。

 

 

 

 結果を簡単にまとめると…エフペグレナチドを使用した患者は、主要な心血管イベント、難しい医学用語でいうと「非致死性の心筋梗塞、非致死性の脳卒中、または心血管疾患または不明な原因による死亡の複合」が発生するリスクが低かったのです!!

 

 

 

 つまり、この薬、エフペグレナチドを使用する群では、プラセボ(偽薬)を使用する群よりも、心血管イベント(心筋梗塞脳卒中)という恐ろしいリスクが低かったのです。

 

 

 

 このお薬を使うことで、血糖値を良好に管理でき、心臓の健康にも良い影響を及ぼす可能性があるという結果がでたのです…。

 

 

 

 完璧な世界2位のThe New England Journal of Medicineという医学専門雑誌の論文で…。

 

 

 

 やったーーーーーーーー!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 「縦軸心血管イベント(心筋梗塞脳卒中)リスク」で、グラフの上に行けば、行くほど心血管イベントリスクが高いというグラフだ!

 

 

 

 プラセボ(ただの粉)のほうが上にいるのだ。

 

 

 

 「つまりエフペグレナチドのほうが心血管イベントを起こしていないのだ!たったの24ヶ月で…。」

 

 

 

 これが本論文のメインの結果のFigureだ!!!

縦軸:心血管イベント(心筋梗塞脳卒中
🔵の点線:心血管イベントが上がっている!
🔴の実践:週一回エフペグレナチド打つと心血管イベントが有意差を持って抑えられている。しかも、27%も!

 

 

 

 

 

 

 

 

 でも、不思議なのはこの研究では4,076人の治験者が参加したが、減量する作用で有名なGLP-1受容体作動薬ではあるが、そのGLP-1受容体作動薬であるエフペグレナチド郡の減量は、プラセボ郡と比較して「–2.6kgしか痩せていなかった。」

 

 

 

 GLP-1受容体作動薬の成分自体が今回の結果を生んだのか?

 

 

 

 それとも、「マンジャロ®」のような体重減少の大きなGLP-1受容体作動薬で、今回の論文のような心血管イベントや腎イベントリスクの研究を行ったら、更に良い結果が出るのでは無いか…?

 

 

 

 研究者・医師として非常に興味がある…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ただし、エフペグレナチドの試験はまだ日本の患者に関しては行われておらず、その効果がどれだけ日本の人々に適しているかは確定していません。今後の研究でさらに詳細な情報が得られるでしょう。

 

 

 

 要するに、エフペグレナチド2型糖尿病患者にとって「希望に満ちた新しい治療法の一つ」といえるでしょう。

 

 

 

 また、腎臓の問題にも注目が集まりました。結果は以下のグラフになります。Placebo=偽物の薬(ただの粉)とエフペグレナチドがガチンコになって戦った結果のグラフです。

 

 

 

 

🔵の点線:偽物の薬で上に行けば行くほど腎機能が月日とともに悪くなっている。
🔴の線:本物の薬エフペグレナチドは、腎機能の悪化が遅くなっている!

 

 

 

 エフペグレナチドを使用した患者は、腎臓の問題が起こるリスクも低かったのです。

 

 

 

 

 GLP-1受容体作動薬を知らない方もいるかと思いますので細く説明を致します。

GLP-1受容体作動薬のメカニズムと臨床的重要性

 GLP-1受容体作動薬は、現代の2型糖尿病治療において注目すべき役割を果たしている医薬品の一つです。

 

 

 

 GLP-1(Glucagon-Like Peptide-1)は、膵臓から分泌されるホルモンで、食事を摂ることによる血糖値の上昇を制御する重要な要素です。

 

 

 

 そのため、GLP-1受容体作動薬は、このホルモンに関連する生理学的プロセスに着目し、糖尿病患者の治療において有望なアプローチとなっているのです。

 

 

 

 

 GLP-1受容体作動薬の効果はたくさんあります。

  1. 食事後の急激な血糖値上昇を抑制することです。GLP-1受容体作動薬は、摂食後に過剰なインスリンの分泌を防ぎ、過度の血糖値の上昇を抑制します。これにより、血糖値の変動を最小限に抑え、安定した糖代謝を実現する役割を果たします。
  2. GLP-1受容体作動薬は、満腹感を促進する作用を持つことがあります。これにより、患者は適切な食事制御が容易になり、過食を防ぐ助けになります。また、これが体重管理に寄与する要因の一つとなります。
  3. 興味深いのは「GLP-1受容体作動薬の心臓と腎臓への良い影響」です。今回紹介した研究では、GLP-1受容体作動薬(エフペグレナチド)が心血管系と腎機能に対して肯定的な効果を示す可能性が示唆されています。これらの効果についてはさらなる詳細な研究が必要です。

 

 

 

 ただし、この試験には日本の患者は含まれていませんでした。

 

 

 

 そのため、日本の患者に対しても同様の効果が期待できるかは分かりません。今後の研究が待たれます。

 

 

 

 総括すると、新しい薬エフペグレナチド」は糖尿病治療の分野で注目されている薬物の一つです。今後の情報に注目しましょう!

 

 

 

 Youtubeを初めてほしい!」という声が増えてくれば励みになりますので、このくだらないブログの読者になっていただけますと幸いに存じます!Youtubeで無料で糖尿病の知識を8分程度で語るチャンネルを考えています。

 

 

 

 以上!!!

 

 

 

新宿内科 糖尿病・生活習慣病クリニック

新宿駅徒歩3分・西新宿駅徒歩2分)

統括院長 松谷 大輔拝

 

 

 

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