糖尿病内科医の備忘録

〜心筋梗塞・脳梗塞にならない知識🖋を届ける〜

【復習は重要!勉強会:「ざっくり糖尿病ってなんでなるの?」】

糖尿病を模式図で正確に書くと、複雑すぎて理解不能になります。

そこで、今回は「なぜ肥満が2型糖尿病になるのか?」かなり、端的に説明いたします。今回は肥満の方が2型糖尿病になる理由の解説となります。細身の方はまた別の回にご説明いたします。

まずは「超簡潔化した糖尿病の模式図」を御覧ください。見ただけでは意味不明なのでご説明いたします。

 

 

 

 

糖尿病の模式図

 

 

 

 

 【図の解説】

・図の一番左:血糖を下げるためのホルモン、インスリンを分泌する「膵臓くん」

・図の一番右:「小窓付きの血管」と、血管内の「赤丸の血糖」

 

【血糖値の調節の仕組み】

・胃腸から吸収された血糖は、血管の中に入ります。(模式図の一番右の赤丸が血糖)

 

・24時間営業の心臓、腸管、脳、筋肉、肝臓などのあらゆる臓器に「血糖」を届けるために「血管の小窓」を開けて「糖質というエネルギー」を全身の内臓にくまなく与えなくてはなりません。

 

・そこで登場するのが図の一番左の「インスリン」を分泌してくれる「膵臓くん」です。ざっくりいうと、「血管の小窓を開ける鍵=インスリンとお考えください。

 

・「小窓を開ける鍵」=「インスリン」が血管に届くと小窓が開き血管内の「血糖」があらゆる臓器にエネルギーとして届けられ、内臓は毎日毎日動くことができます。そして、血糖値は正常に保たれます。

 

本題です。

「糖尿病の説明」

 真ん中に「大きな脂肪の壁」が立ちはだかっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 身体の中では「膵臓くんが出す、血管の小窓を開ける鍵」という名の「血糖を下げるホルモン=インスリン」が流れているのですが、「大きな脂肪の壁」が血管の前に存在し、血管になかなかたどり着くことができません。。。

 

↓結果…

 

 はい、その通りでございます。血管にインスリンが届きませんので、血管の中に「血糖がとどまってしまいます。」→糖尿病状態

 

 これを専門学的には「インスリン抵抗性」といいます。つまりインスリンの壁、邪魔過ぎ問題」ということです。

 

 こうなると「膵臓くんはどうするか?」

 

 膵臓くんにも意地というものがあります。アクセルを踏んでなんとかその壁を壊し、血管にインスリンを届けます。

 

 この段階では「血管の小窓」が開くので、血糖値は正常に保たれます。

 

 しかし、頑張りすぎた膵臓くんの顔」を見てみましょう。

 

 こんな表情をしてます。

 

 

 

 

膵臓くん」の限界間近

 

 

 

 

 何が問題か。

 

 一目瞭然。

 

 もう一度模式図を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 明らかに「脂肪の壁」は「膵臓くん」のインスリンを血管に届けるというお仕事の邪魔をしていますね。

 

 まじめで熱心な「膵臓くん」は「脂肪の壁を突き破ろうと毎日毎日頑張ります。しかし、痩せないは、残念ながらオーバーヒート状態」となってしまいます。

 

 車で言うならアクセルベタ踏みで180km/時でるところが時速30km/時しか出なくなっている状況。ここで「糖尿病」を発症します。

 

 なぜ、医師が何度も何度も「痩せてください、運動で脂肪を燃やしてください」

 

 そのように言うのか。

 

 単純な模式図が頭に入っていれば、理解ができるかと思います。

 

 痩せて「脂肪の壁」を除くしか無いのです。

 

 薬の話を少しして、終りにします。

 

【お薬はどこに働きかけて血糖値を下げているのか?】

メトグルコ(後発品:メトホルミン)

 多くの2型糖尿病患者の方がこの薬は、「脂肪の壁にトンネルを作る薬」となります。

 

 ですので第一選択薬レベルのお薬なのです。

 

 

SGLT2阻害薬(ジャディアンス、フォシーガ、カナグルなど)

 尿からカロリーを1日1錠で300-400kcal程度毎日排出します。

 

 このことから糖尿病の要因である「脂肪の壁」が少しずつ少しずつ溶けていきます。

 

 インスリンは当然、膵臓に届き、「血管の小窓」が開きやすくなり血糖値は良くなっていきます。

 

 根本的に糖尿病を改善に向かわせる素晴らしいお薬!😍

 流行りの「GLP-1受容体作動薬関連(週一回注射薬)」(オゼンピック、マンジャロ、トルリシティーなど)

 胃腸の動きをゆっくりにすることで食欲を食べすぎていたところから、通常レベルに調節することで、減量していきます。

 

 当然「脂肪の壁」は薄くなっていきます。

 

 血糖も改善します。

 

DPP4阻害薬(ジャヌビア、エクア、トラゼンタ、テネリア、グラクティブ、スイニー等)

 AI機能付きの「膵臓からのインスリン分泌調整薬」です。

 

 つまり、、、

「血糖高いとき」→「インスリンを多めに出す」

 

「血糖低めの時」→「膵臓は休憩してインスリンは出さない」

 

 画期的なお薬かと思います。インスリン分泌能力がやや低い方に効果ありますが、必ず「脂肪の壁の中にトンネルを作るメトホルミン」を内服しないと「焼け石に水」となります。

 

 「メトホルミンとDPP4阻害薬はセットで初めて効果が出る」とやや肥満以上の方は、特にそう思います。

 

 糖尿病のお薬はまだまだたくさんの種類がありますが、少しずつ説明させていただきたく存じます。

 

 

 ぜひ、今回の模式図を頭に叩き込んでいただき「糖尿病治療のヒント」にしていただけたらと存じます。

 

 また、ブログ書いてみようと思います。

 

 最近、難しすぎる論文を書いているような気がしていて悩んでいるのですが、わかりやすさを意識した書き方の練習をしています。

 

 

 

 ぜひ、かけるようになってください。(あくまでも模式図ですが、概ね間違ってないです。)

 

 それでは次のブログも勉強になる記事を書きたいと思います。

 

 引き続き新宿内科 糖尿病・生活習慣病クリニックをよろしくお願いいたします。

 

新宿内科 糖尿病・生活習慣病クリニック(新宿駅徒歩3分・西新宿駅徒歩2分)

統括院長 松谷 大輔拝

 

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