糖尿病内科医の備忘録

〜心筋梗塞・脳梗塞にならない知識🖋を届ける〜

【マンジャロの減量効果よくわかった。ロイター通信でニュースになり、そして、厚生労働省は怒っている。なぜか。】

さて、マンジャロの減量パワーは、アメリカ糖尿病学会で2023年は大いに盛り上がったようです。

皆さんご存知、「メタボリックドミノ」

 

 

 

 

メタボリックドミノ
多くの病気は「肥満」から始まる。

 

 

 

 

 そうです、どう考えても何をどう考えても心血管疾患(心筋梗塞脳卒中)の要因の大元は「肥満です。

 

 「わかってるよ」

 

 「今更、何を言うんだ」

 

 「耳が痛いよ」

 

 良く分かります。

 

 なぜなら、「自分も肥満に悩み続けて、痩せたり太ったりの人生だから」です。

 

 医師も当然同じ人間。食べたいときもあります。同じ人間ですもの。

 

 身体の構造、思考回路、食欲は同じ。

 

 話を戻します。

 

いままでの治療は以下の様でした。

糖尿病→「血糖下げればええやん!!!」→根本的に肥満を解消していないから、臨床研究であまり良い結果出ず…。

高血圧→「血圧値を血管広げる薬とかで下げればええやん!!!」→全体的な根本の解決になっていない。

脂質異常症→以下同郡…。

 

もう一度、メタボリックドミノを見てください。

 例え…

脂質異常症だけを治療」

「糖尿病だけを治療」

…しても、横からドミノは倒れてしまい大病を患ってしまうのです。

 

 マンジャロくんはどうなんでしょうか。

 

 ドミノの最初に君臨してる「肥満ドミノ」をブロックするのです。

 

 アメリカ人は尋常じゃなく肥満症が多い。

 

 BMI 30以上(例:170cmの人だと86.7kg、160cmの人だと76.8kg)で2019年にとった統計です。日本、4%!!低い!!

 

 

圧倒的なアメリカ肥満一位
一方、想像通りではあるが日本はこの統計では一番少ない比率。

 アメリカ合衆国の肥満率は悲劇的に高いのです。

 

 だから、ロイター通信も報じているように「後期臨床試験で、体重マイナス26.6%!」と記事を書いています。

 

 「2型糖尿病ではない肥満の方に投与した結果」です。

 

 

jp.reuters.com

 

 アメリカ人のスタートの体重が比較にならないので、日本人はここまでの減量率の結果は出ないかもしれませんが、「痩せることに間違い無い」と思います。

 

 

 

 そして「2型糖尿病を発症する前に肥満を解消して、糖尿病・生活習慣病ドミノに到達させない」

 

 そして、患者様を苦しめ、医療費を圧迫する「心筋梗塞脳梗塞、透析」は減っていくことになるでしょう。

 

 そう思います。

 

 さて、2023/07/31 現在日本の保険診療では「2型糖尿病」の治療薬として使用される薬剤です。

 

 なのに、美容クリニックが「マンジャロを自費診療で処方しまくっているおかげさまで、2型糖尿病患者様にお薬が届かなくなっています。」

 

 ということで厚生労働省から、日本糖尿病学会宛に、以下の様な通達が来ました。

厚生労働省が、静かに怒ってます。
「そもそも2型糖尿病を患っている人、そして糖尿病に限りなく近い肥満で危ない方」
 を対象に研究され発売された薬剤。

 

 医薬品卸売販売業者の方から「2.5mg、5.0mgの在庫はあるが、7.5mg、10mg、12.5mg、15.0mgの在庫が薬局にかなり少なくなってきている(2023/07/31現在)」と実際に聞きました。

 

マンジャロのラインナップ

 

 これって本当に変な話だと思います。

 

 もちろん45kgくらいのモデルの方が、仕事の都合で更に痩せるべく自費でマンジャロのような糖尿病のお薬を使う理由、目的は分かります。

 

 しかし、本当に遺伝で100kgになってしまい、糖尿病になってしまい、このままだと透析・失明・心筋梗塞になってしまう方もいるのです。

 

 「怠惰なだけだろ。」と思われる方もいると思いますが、本当に減量が難しい方には最後の砦(とりで)なのです。

 

 はい、当院は糖尿病・生活習慣病専門のクリニックです。

 

 よって、

 

「当院では自費診療でマンジャロ肥満外来、始めております。」

 

 でも…。

 

 大変申し訳ございませんが、「流通の問題もありますし、何をやっても遺伝的・メンタル的に食事運動減量が難しく、このままだと糖尿病になってしまうかもしれない。」

 

 つまり、「メタボリックドミノが倒れて、次々とドミノが倒れ始めている方」に限り自費診療をしております。

 

 このままだと、膵臓というエンジンが壊れてしまう…。腎臓も壊れてしまう…。そのような懸念がある方です。

 

 キチンと血液検査をして、2型糖尿病であれば保険診療として治療します」し、2型糖尿病の診断ではない場合は、まずはマンジャロ等のお薬による医療自費ダイエットを選択する前に、食事運動療法を指導をします。」(※もしくは、話を聞いてこれまで散々ダイエットしてきたが、心身的に疲れて減量不可能と医師が判断した場合)

 

 「多くの方が食事運動療法を間違っており、指導を重ね少しずつ減量していき、それでもこのままだと確実に健康を害する(心筋梗塞脳卒中になる)場合に、自費診療をご提案すること」にしております。

 

 お願いです。

 

 2型糖尿病の方が本当に本当に困るので、「自費診療を行っている糖尿病を中心に診察しているクリニック以外の異常な在庫保持」はやめていただきたい。

 

 2型糖尿病治療をしている医師の治療の選択肢が少なくなるのです。

 

 つまり間接的に2型糖尿病さんを苦しめていることになります。

 

 以上

 

 今回は、2型糖尿病患者様の治療選択肢を守るために書かせていただきました。

 

新宿内科 糖尿病・生活習慣病クリニック(新宿駅徒歩3分・西新宿駅徒歩2分)

統括院長 松谷 大輔拝

 

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【勉強会(難易度:高):「糖尿病とがんについて」 〜日本糖尿病界の天才まとめ文章(総説)を読んで、噛み砕いて説明を試みるの巻〜】

「糖尿病」と「がん」

「糖尿病」と「がん」が密接に関係していることは以前より知られています。改めて日本の糖尿病界の天才先生方(坊内 良太郎先生、植木 浩二郎先生)がまとめた総説(≒天才まとめ文章)を理解し、まとめることを試みます。難しい…。

 

「糖尿病とがん」

著者:坊内 良太郎先生、植木 浩二郎先生(詳細はページ下部にすべて記載)
雑誌名:糖尿病 66 (6) 468~471, 2023

 

 どういうことが書かれているか、私見は排除し客観的に、更にコンパクトにまとめてみようと思います。

 

 コンパクトにされているきれいな文章を更にコンパクトに!

 

 これは本当に難しい…。

 

 さて、スタートです。

 

「糖尿病」と「がん」
がんの検査を受けていないだと??甘い…。
ダジャレを言っている場合ではないのです。
「がん→糖尿病」 or 「糖尿病→がん」どっちもある。

 

 最後まで読破された方は…勉強家だと思います。

 

 私自身が理解が大変だったからです…。

 

 それではスタート!!!

 

 国内外で数々の研究により、「糖尿病を患っている人たちには特定のがんのリスクが高い」ことがわかっています。

 

 はい、もう重たいので休憩しましょう。景色の画像で癒やされてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 癒やされましたね。

 

 さて、始めましょう。

 

 日本では糖尿病患者の死因の第一位は「悪性新生物=がん」となっており、「糖尿病とがんの関連性の重要性」が指摘されています。

 

 っていうことで何が大切か?

 

 そうです。

 

「糖尿病に多い「がん」をどうやって抑制するべきか?」

 

 そこが大事なのです。

 

 私自身「血糖値が高いの人、げっそりしていて、顔色も悪いな…。まさか…。がんがあるのでは?」

 

 後日造影CT検査を行って、がんを何人みつけて外科に紹介したか…。

 

 「がん」→「糖尿病」もあり、そして「糖尿病」→「がん」もあるのです。

 

 今回の勉強会は「糖尿病」→「がん」のお話になります。

 

 天才先生方は、超大事な研究をされているのです。

 

 糖尿病を患っている人は何がんが増加するのでしょうか??

 

 以下です。

 

・結腸がん

・胆管がん

膵臓がん

乳がん

胃がん

・肝臓がん

…などのリスクが高まる傾向があるのです。

 

 これは…「ほぼ全部の臓器のがんのリスクが増加する」と覚えるべきでしょう。

 

日本糖尿病学会」と「癌学会」が共同で行った研究をご紹介します。

 

 日本「国内」の8つの研究結果を統合的に分析しています。

 

 この分析では「日本のみに限定したことが大切」なのです。

 

 日本人と外国人が明らかに体格や食生活が違うので、海外の論文ばかりを信用することは間違っているのです。(日本の研究レベルが低くてなかなか研究が少ないのが事実…なのでアジア人論文、例えば中国人や韓国の論文も増えています。)

 

 アメリカの論文であっても、キチンとアジア人、欧州、米国(白人、黒人)などに分けて人種別に解析をしてまずので、サブ解析の結果も確認することが大切となります。

 

 あっ、あくびしました?

 

 

 

 

勉強会って、眠いですよね…。いい睡眠薬…。

 

 

 

 

 続けます。

 

 統合的に分析した結果「日本の糖尿病患者は、全体的ながんの発症リスクが1.2倍高くなる」ことが分かりました。

 

 「え?たった20%しか増加しないの?」そう思われた方もいるかと思います。

 

 20%の増加は相当な増加です。

 

 具体的には、「結腸(大腸)がん、肝臓がん、すい臓がん」のリスクが特に高まることが示されています。

 

 「糖尿病患者さんには、大腸がん、肝臓がん、すい臓がんリスクが特に高かった」ということです。

 

 また、「子宮内膜がんや膀胱がんのリスクも関連する可能性が”示唆”」されています。糖尿病があると子宮内膜がんや膀胱がんリスクが増えるかも?ということです。

 

 一方では、乳がん前立腺がんとの関連は見られませんでした。

 

 しかし、論文を8個まとめたことは非常に素晴らしいことなのですが、更に100個、1000個の論文をまとめると全く違う結果になる可能性があることも頭に入れて置かなければなりません。

 

 そろそろ、疲労がでてきましたね。

 

 もう1回、きれいな日本の風景をみてやすらぎましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 キレイだ…

 

 一旦寝ましょう。

 

 気が向いたら、続きを読みましょう。

 

 先は長いです。(吐き気がない方のみ、読み進めてください。天才先生方が悪いのではなく、医学は非常に難しく、そして果てしなく複雑なのが悪いのです。)

 

 続けます。

 

 「糖尿病」と「がん」の研究結果については、高血糖状態」「高インスリン血症状態」が関与しているのではないか?

 

 と考えられています。

 

 補足

「高インスリン血症状態」

すい臓君が、「血糖値を下げなきゃさげなきゃ!」と必死にアクセルを踏んで頑張っている状態のことです。

 

 膵臓くんはがんばり屋さんなので皆様の血糖値を下げようと、毎秒単位でインスリン量を調節して、血糖値を常に100mg/dLに保つようにしてくれています。

 

 

 

 

日々頑張り続ける軌跡の臓器「膵臓くん」

 

 

 

 

 しかし!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 「肥満、身体活動、喫煙などのがん発症リスクによる影響も考慮する必要」があるんです。

 

 「糖尿病→がん増加」ではなくて、「その他の要因が間にあるんじゃないん???」

 

 つまり、糖尿病だけでがんのリスクが増加しているわけではないんじゃないの?ということです。

 

 「糖尿病とがんとの関連については明確ではない部分がまだまだたくさんある」ということです。

 

 結局のところは、糖尿病患者さんが、がんになるリスクには多くの要因が絡み合っている可能性があるので、まだ良くわかっていないという結論になります。

 

 論文の最後の一文の鉄板文句

 

 「更なる研究が必要である。」

 

 論文を読みながらも「ズルすぎる…。」と思いつつも、絶対に書かないといけない文言なのです。

 

 ただ、「糖尿病」と「がん」の関連性は統計上明らかであり、研究が進められています。

 

 もう少しだけ深いところへご案内しましょう。

 

 

 

 

医学というのは「果てしなく深い洞窟」のような分野


 

 

 

 さて、頭のエンジンを再度かけましょう。  

 

 本題の「糖尿病」「がん」の関連についての病態について説明します。

 

 糖尿病では、以下のステップを踏みインスリン抵抗性」、つまり「自分の膵臓からのインスリンが全然全身に効いてくれない、染み渡ってくれない現象」とも言いかえられる現象が身体の中で発生することの医学専門用語です。

 

インスリン抵抗性の要因

「遺伝的な要因」+「食べ過ぎによる肥満」+「運動不足、運動不足による肥満」などの環境要因の悪化

  ↓

内臓に脂肪が蓄積」

  ↓

脂肪肝」などの異常

 

 これにより悪の根源インスリン抵抗性」が引き起こされます。

 

 このインスリン抵抗性は、がんの発生や増殖に関与している可能性」が考えられています(図1)。

 

 図は非常に難しいので、とりあえず…

 

インスリンの効きを悪くする脂肪が悪性腫瘍を増やしているのかも!」

 

と覚えましょう!

 

図1:インスリン抵抗性は、がんの発生や増殖に関与している可能性

 

 

 

 

 ここからは、かなり難しい用語が続きます。読んでみようという勇者のみで良いと思います。

 

 インスリン抵抗性」は、「高インスリン血症」とグルになり以下のような「悪さ」をするのではないかと推定されています。

 

インスリン抵抗性」「高インスリン血症」

 ↓ 

・脂肪細胞からの炎症を引き起こす「炎症性サイトカインなどの悪い物質の産生増加」

・肝臓や脂肪細胞でのInsulin-like growth factor(IGF)-1の増加などを経て、細胞の増殖、移動、血管新生、アポトーシス(細胞の自然な死亡)の抑制を引き起こし、がんのリスクを高める

 

 こんな悪い流れが起きていると考えられています。

 

 は?なんですか?IGF-1?という方も多数おられると思いますので以下補足致します。

 

 インスリン様成長因子(IGF)-1について補足

 インスリン様成長因子(IGF)-1は、私たちの体の中で作られるタンパク質の一種です。

 

 このタンパク質は、細胞の成長や分裂、そして組織の発育に重要な役割を果たします。

 

 通常、IGF-1は私たちの成長や健康維持にとって必要なものですが、一部のがんに関連して問題が起こる場合があります。

 

 なぜなら、IGF-1は細胞の増殖を促進する性質を持っているからです。

 

 がん細胞もこれに反応し、増殖が刺激されることがあります。

 

 つまり、がん細胞は通常の細胞と同じように、IGF-1の影響を受けて成長し、増殖します。その結果、がん細胞が異常なペースで増えてしまい、がんの成長や拡散が加速される可能性があるのです。

 

 例えると、IGF-1は肥料のようなものだと考えることができます。

 

 通常、肥料は植物の成長を助けるために使われますが、悪い側面として、雑草も同じように肥料を受けて成長してしまうことがあるように、がん細胞もIGF-1を受けて成長してしまうのです。

 

 

 

 

「がん」を増やしてしまうIGF-1を如何に抑制するか?
これが、医療では大切!!!

 

 

 

 

 ですので、医学の分野では、がん治療の一環としてIGF-1の働きを抑える方法が研究されている」のです。

 

 これによって、がん細胞の増殖を抑えることが期待され、治療効果を高める可能性があるのです。

 

 特に、乳がん、肺がん、子宮がん、甲状腺がんでは、「がん細胞のインスリン/IGF-1受容体の発現」が他のがんよりも高く、これらのがんにおいては高いインスリンIGF-1の影響が強く示唆されています。

 

 また、高血糖"自体"」もがんの成長に関連している可能性があるという報告もあります。

 

 「がん細胞は高血糖状態でエネルギーを生み出すための仕組みを持っており、"高血糖"ががん細胞の増殖、アポトーシス(自然な細胞の死)、浸潤性に影響を与える」ことが知られています。

 

 これはイメージしやすいですね。

 

 〜"糖質"を栄養に「がん」は成長し、広がっていく〜

 

 一方、前立腺がんのリスクは糖尿病患者において低いとされていますが、その理由としては低アンドロゲン血症が関係している可能性が考えられています。

 

 ここについては、自分の勉強不足なので宿題とさせてください。

 

 糖尿病の方はアンドロゲンという男性ホルモンが少なくなる?という意味で前立腺がんが少ないのかもしれません。

 

 また、最近の研究では、「腸内環境の異常」糖尿病やがんの発症に影響を与えることが明らかにされています。

 

 これらの研究から、インスリンシグナル」「腸内環境」を考慮することで、がん発症を予防する可能性」が示唆されています。

 

 つまりこれまでの研究の結果は、「がん予防のための新しい治療法の開発にも役立つ」かもしれません(図2)。

 

 図2は、非常に非常に難解なため、とりあえず「糖尿病にならない、糖尿病で会ってもデータをよくする、腸内細菌バランスも良くすること!」が、がんの発症を抑制するかもしれない!と覚えておくと良いと思います。

 

 

図2
インスリンシグナル」や「腸内環境」を考慮することで、
がんの発症予防の可能性があるかも?



 

 

 最後に、「糖尿病治療薬とがんの関連」についてお話して今回の難易度の高い回を終わりにしたいと思います。

 

 「糖尿病の治療に使われる薬には、がんのリスクに影響を与える」ものもある。かもしれません。

 

 つまり、がんの発症を抑制する可能性がある薬があるかもしれないのです。(あくまでも論文ベースなので”ゼッタイ”は存在しません。断言はしません。)

 

 糖尿病の方の多くが内服している「メトホルミン(先発品:メトグルコ®)は、がんの発生リスクが低い」という報告があります。

 

 これは、インスリンを介する経路や直接的な経路(AMPK活性化の増加やmTORシグナルの減少など)によって抗がん効果が期待されている薬です。

 

 しかし、現在までの研究では、メトホルミンのがん抑制効果についての確かな証拠は得られていません。

 

 特に乳がんに対しての効果については分かっていないようです。

 

 チアゾリジン誘導体と膀胱がんの関連については、複数の研究で膀胱がんのリスクが時間や用量によって増加する可能性が示されています。特に長期間にわたって使用される場合には、膀胱がんのリスクに注意が必要です。

 

 インクレチン関連薬は、膵臓がん、甲状腺髄様がん(GLP-1受容体作動薬)、胆管がんのリスクが懸念されていますが、膵臓がんや甲状腺髄様がんについては明確な関連性が報告されていません。胆管がんについても、報告によっては関連性が示唆されているものもあれば否定的なものもあり、今後の研究が待たれる状況です。

 

 一部の研究では、外因性インスリン(人工的なインスリン)が細胞の分裂を促進する可能性が示唆されていましたが、疫学的な研究ではインスリン投与とがんリスク上昇の関連は見られないとの結果も出ています。

 

 また、「SGLT2阻害薬」や「イメグリミン®」については、まだ上市されてからの期間が短く、長期的なデータが不足している状況です。

 

 したがって、糖尿病薬を使用する際には、がんリスクに注意しながら個々の症例に合った適切な治療を検討し、長期使用においては適切なスクリーニングを行うことが重要です。

 

 今回は、難易度の高い「糖尿病患者におけるがんリスクについてのデータや、糖尿病とがんの仕組みについて」お話ししました。

 

 「骨格筋や腸管のインスリンシグナル」「がんの発生を抑制する役割」についても触れました。

 

 さらに、糖尿病治療に使われる薬によってがんのリスクが気になる点についても説明しました。

 

 これらの研究をもとに、「糖尿病に関連するがんを予防するために最適な治療選択や、特別な治療法の研究開発が期待」されています。

 

 今回も偉そうに、勉強会をしてみました。

 

 最後はかなり難しかったと思いますので、ブログ記事を更新してわかりやすい文章にしようと思っています。

 

 最後まで見てくれている方は少ないと思いますが…、「糖尿病とがん」の関係性は非常に大切なので、引き続き勉強していきたいと思いました。

 

 それでは引き続き勉強してまいります。

 

新宿内科 糖尿病・生活習慣病クリニック(新宿駅徒歩3分・西新宿駅徒歩2分)

統括院長 松谷 大輔拝

 

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引用文献リスト:
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著者の所属病院:国立国際医療研究センター

www.hosp.ncgm.go.jp

 

research-er.jp

 

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www.jstage.jst.go.jp

【復習は重要!勉強会:「ざっくり糖尿病ってなんでなるの?」】

糖尿病を模式図で正確に書くと、複雑すぎて理解不能になります。

そこで、今回は「なぜ肥満が2型糖尿病になるのか?」かなり、端的に説明いたします。今回は肥満の方が2型糖尿病になる理由の解説となります。細身の方はまた別の回にご説明いたします。

まずは「超簡潔化した糖尿病の模式図」を御覧ください。見ただけでは意味不明なのでご説明いたします。

 

 

 

 

糖尿病の模式図

 

 

 

 

 【図の解説】

・図の一番左:血糖を下げるためのホルモン、インスリンを分泌する「膵臓くん」

・図の一番右:「小窓付きの血管」と、血管内の「赤丸の血糖」

 

【血糖値の調節の仕組み】

・胃腸から吸収された血糖は、血管の中に入ります。(模式図の一番右の赤丸が血糖)

 

・24時間営業の心臓、腸管、脳、筋肉、肝臓などのあらゆる臓器に「血糖」を届けるために「血管の小窓」を開けて「糖質というエネルギー」を全身の内臓にくまなく与えなくてはなりません。

 

・そこで登場するのが図の一番左の「インスリン」を分泌してくれる「膵臓くん」です。ざっくりいうと、「血管の小窓を開ける鍵=インスリンとお考えください。

 

・「小窓を開ける鍵」=「インスリン」が血管に届くと小窓が開き血管内の「血糖」があらゆる臓器にエネルギーとして届けられ、内臓は毎日毎日動くことができます。そして、血糖値は正常に保たれます。

 

本題です。

「糖尿病の説明」

 真ん中に「大きな脂肪の壁」が立ちはだかっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 身体の中では「膵臓くんが出す、血管の小窓を開ける鍵」という名の「血糖を下げるホルモン=インスリン」が流れているのですが、「大きな脂肪の壁」が血管の前に存在し、血管になかなかたどり着くことができません。。。

 

↓結果…

 

 はい、その通りでございます。血管にインスリンが届きませんので、血管の中に「血糖がとどまってしまいます。」→糖尿病状態

 

 これを専門学的には「インスリン抵抗性」といいます。つまりインスリンの壁、邪魔過ぎ問題」ということです。

 

 こうなると「膵臓くんはどうするか?」

 

 膵臓くんにも意地というものがあります。アクセルを踏んでなんとかその壁を壊し、血管にインスリンを届けます。

 

 この段階では「血管の小窓」が開くので、血糖値は正常に保たれます。

 

 しかし、頑張りすぎた膵臓くんの顔」を見てみましょう。

 

 こんな表情をしてます。

 

 

 

 

膵臓くん」の限界間近

 

 

 

 

 何が問題か。

 

 一目瞭然。

 

 もう一度模式図を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 明らかに「脂肪の壁」は「膵臓くん」のインスリンを血管に届けるというお仕事の邪魔をしていますね。

 

 まじめで熱心な「膵臓くん」は「脂肪の壁を突き破ろうと毎日毎日頑張ります。しかし、痩せないは、残念ながらオーバーヒート状態」となってしまいます。

 

 車で言うならアクセルベタ踏みで180km/時でるところが時速30km/時しか出なくなっている状況。ここで「糖尿病」を発症します。

 

 なぜ、医師が何度も何度も「痩せてください、運動で脂肪を燃やしてください」

 

 そのように言うのか。

 

 単純な模式図が頭に入っていれば、理解ができるかと思います。

 

 痩せて「脂肪の壁」を除くしか無いのです。

 

 薬の話を少しして、終りにします。

 

【お薬はどこに働きかけて血糖値を下げているのか?】

メトグルコ(後発品:メトホルミン)

 多くの2型糖尿病患者の方がこの薬は、「脂肪の壁にトンネルを作る薬」となります。

 

 ですので第一選択薬レベルのお薬なのです。

 

 

SGLT2阻害薬(ジャディアンス、フォシーガ、カナグルなど)

 尿からカロリーを1日1錠で300-400kcal程度毎日排出します。

 

 このことから糖尿病の要因である「脂肪の壁」が少しずつ少しずつ溶けていきます。

 

 インスリンは当然、膵臓に届き、「血管の小窓」が開きやすくなり血糖値は良くなっていきます。

 

 根本的に糖尿病を改善に向かわせる素晴らしいお薬!😍

 流行りの「GLP-1受容体作動薬関連(週一回注射薬)」(オゼンピック、マンジャロ、トルリシティーなど)

 胃腸の動きをゆっくりにすることで食欲を食べすぎていたところから、通常レベルに調節することで、減量していきます。

 

 当然「脂肪の壁」は薄くなっていきます。

 

 血糖も改善します。

 

DPP4阻害薬(ジャヌビア、エクア、トラゼンタ、テネリア、グラクティブ、スイニー等)

 AI機能付きの「膵臓からのインスリン分泌調整薬」です。

 

 つまり、、、

「血糖高いとき」→「インスリンを多めに出す」

 

「血糖低めの時」→「膵臓は休憩してインスリンは出さない」

 

 画期的なお薬かと思います。インスリン分泌能力がやや低い方に効果ありますが、必ず「脂肪の壁の中にトンネルを作るメトホルミン」を内服しないと「焼け石に水」となります。

 

 「メトホルミンとDPP4阻害薬はセットで初めて効果が出る」とやや肥満以上の方は、特にそう思います。

 

 糖尿病のお薬はまだまだたくさんの種類がありますが、少しずつ説明させていただきたく存じます。

 

 

 ぜひ、今回の模式図を頭に叩き込んでいただき「糖尿病治療のヒント」にしていただけたらと存じます。

 

 また、ブログ書いてみようと思います。

 

 最近、難しすぎる論文を書いているような気がしていて悩んでいるのですが、わかりやすさを意識した書き方の練習をしています。

 

 

 

 ぜひ、かけるようになってください。(あくまでも模式図ですが、概ね間違ってないです。)

 

 それでは次のブログも勉強になる記事を書きたいと思います。

 

 引き続き新宿内科 糖尿病・生活習慣病クリニックをよろしくお願いいたします。

 

新宿内科 糖尿病・生活習慣病クリニック(新宿駅徒歩3分・西新宿駅徒歩2分)

統括院長 松谷 大輔拝

 

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【マンジャロ®はすごすぎるかもしれない…🔥減量すごい、HbA1c下がる低血糖少ない…。オゼンピック®1mgよりも…。 Diabetes, Obesity and Metabolism 2023年4月号】

2型糖尿病の方は「マンジャロ®」に期待を抱いているのではないでしょうか?

今回は、5つの非常にエビデンスレベル(医学的根拠)の高い論文を5つ集めた解析の論文、Diabetes, Obesity and Metabolismというアメリカ糖尿病専門医学雑誌の最高峰の論文をご紹介します🔥

 

Randomized Controlled Trial Diabetes Obes Metab. 2023 Apr;25(4):965-974.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

 

【結論から🔥】

簡単に言うと、2型糖尿病患者を対象に行った5つの最強の研究を更に解析して、圧倒的に「マンジャロ®先生HbA1c低下、減量パワー強し、低血糖なし!強かった!」つまり、マンジャロ®先生無敵??状態。(※注意:まだ、さらなる解析は必要)

「マンジャロ®5mg, 10mg, 15mg」 v.s. 「オゼンピック®1.0mg」 v.s. 「インスリン」 v.s. 「偽物の薬(プラセボ:ただの粉)」の戦いで、、、

 

「すげぇよ……流石に……マンジャロ先生……

 

 

 

 

マンジャロ先生!一人勝ちしようとしてますか?😳

 

 

 

 

方法は、簡単に言います。

 

以下の薬で、「HbA1cの低下作用」、「減量作用」、「低血糖の頻度」を戦わせました。

 

研究に参加したお薬選手を以下に記載します。

 

元々一般的な”マンジャロ先生以外”の糖尿病薬で治療をしていた方に以下のお薬を追加し、解析しています。

 

選手①「元々の治療薬+マンジャロ5mg、10mg、15mgの週一回注射薬のいずれか」
選手②「元々の治療薬+オゼンピック1.0mgの週一回注射」 
選手③「元々の治療薬+偽物のただ水が入った週一回注射薬」
選手4「元々の治療薬+インスリン(トレシーバもしくはグラルギン)」
以上の4選手で行われました。

 

 

 

 

ガチ勝負(負けられない戦い)
健康になるためならちゃんと研究をする。
これが近年の世界一の研究国アメリカ。

 

 

 

 

ってことで、マンジャロが下記の図の通り圧勝しました。

 

グラフを見てもわけわからないかもしれないので、グラフの下にざっくり解説します。

 

 

図1:HbA1c 7.0%未満達成率+5%の体重減少+低血糖の少なさ

 

 

 

 

図2:HbA1c 6.5%未満達成率+5%の体重減少+低血糖の少なさ

 

 

 

 

図3:HbA1c 5.7%未満達成率+5%の体重減少+低血糖の少なさ



 

 

「マンジャロ5mg、10mg、15mgが優勝!!」

例えば図3の縦軸「HbA1c 5.7%未満の達成率+体重の減量パワー+低血糖の少なさ。マンジャロが達成率高い!圧勝!」そういう意味なのです。

 

薄い青=マンジャロ5mg

中くらいの青=マンジャロ10mg

最も濃い青=マンジャロ15mg

灰色=「マンジャロ以外のこれまでの糖尿病薬」や「偽物の週一回の注射(生理食塩水入りなど)」

 

縦軸は「HbA1c 5.7%未満の達成率+体重の減量パワー+低血糖の少なさ」の達成率!

SURPASS-1,2,3,4,5というのは、SURPASSというマンジャロ®の研究名の略称です。

 

今日2023/07/13の結論!!!

「マンジャロ恐るべし…」

 

 なんども言いますが、研究に絶対はありません。ただ、私は非常にエビデンスレベルの高い研究と思います。

 

 ってことで、また勉強してみました。

 

 実際にどんな研究がなされて、世界的に糖尿病トップクラスの医学論文雑誌で発表されているかは、一般の地上波では公表されません。

 

 「病院のお薬のCMは基本的に原則的に禁止」されているからです。

 

 なので私見も含みますが、客観的事実としてエビデンスレベル(医学的根拠)の高い論文を定期的に発信していきたいと存じます。

 

 またよい論文を見つけましたら皆様に発信したく存じます。

 

 引き続き何卒よろしくお願い申し上げます。

 

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【勉強会:フォシーガ(=ダパグリフロジン)が心臓機能が保たれている心不全患者(糖尿病の有無を問わない)に対して心不全入院と死亡率を低下させるか?DELIVER 試験 2022年9月号(ニューイングランドジャーナル:世界トップクラスの医学論文雑誌)】

さて、「フォシーガ」という糖尿病のお薬を服用している方々の中には、糖尿病(1型、2型糖尿病)や慢性心不全、慢性腎臓病を抱える方が増えています。

 

 「あれ?糖尿病の薬なのに、なぜ糖尿病ではない慢性心不全の患者にも投与できるのでしょうか?」

 「添付文書には慢性心不全が適応疾患に含まれているの?なんで!?」と疑問に思われる方もいるかと思います。その疑問の根拠となる論文をご紹介します。

 

 今回のテーマは「糖尿病の有無に関わらず、糖尿病のお薬であるフォシーガが心不全入院または死亡率を減らすことができるのか?」

 

 

 

 

フォシーガ5mgと10mg



 

 

 さぁ、健康寿命(足腰元気で寝たきりにならないような人生)を延長させるために学びましょう!(ガリガリ🖊📖)

 

 結論から申し上げますと、

 

「フォシーガ10mg1日1回は、心臓の機能がほぼ保たれている慢性心不全患者の心不全の悪化や心血管死を低下させる効果がある」

という結果が得られました。

 

 素晴らしい結果ですね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究の方法について簡単に説明します。

【対象者】
糖尿病の有無を問わない、心臓の機能がほぼ保たれている慢性心不全の患者6,263例(十分な数!!!)

 

【方法】
これまでの薬や治療を継続しながら、フォシーガ(1日1回、10 mg)を投与するグループと見た目は全く同じが偽物の薬(ただの粉)をランダムに振り分けた対照群に分けました。

 

【調査項目】
心不全の悪化や心血管死の減少の有無について調査

 

 

この研究は「二重盲検ランダム化比較試験」という、非常に高いレベルの研究方法を採用しています。

 

 

 

 

二重盲検ランダム化比較試験は最高やでー!!!

 

 

 

 

 改めて説明しますが、「二重盲検ランダム化比較試験」での「二重盲検」とは、患者さんに「本物の薬を処方しているのか」「偽物の薬(ただの粉)を処方しているのか」が、患者さんも、医師・医療スタッフには全くわからない状態で行われる試験です。

 

 誰もが本物か偽物かを知りません。

 

 本物の薬(今回の論文ではフォシーガ10mg)では副作用もほとんどなく、一部の患者さんは2週間程度の間、尿量が少し増える程度で気づかないことがほとんどでしょう。

 

 偽物の粉でも、「食事運動療法」を頑張る患者さんは血糖値が下がります。

 

 「本物の薬を処方していますよ!」と患者さんに伝えてしまうと、患者さんは「この研究に参加しているから期待に応えなければ!」と思い、食事や運動療法にも頑張ってしまい、薬の効果なのか、食事や運動療法の効果なのか分からなくなってしまうため、このような方法が取られています。

 

 また、「ランダム化」というのは、パソコンで自動的に番号を割り振り、本物の薬を出すグループと偽物の薬を出すグループを決定します。

 

 では、なぜこのような方法を取るのでしょうか?

 

 例えば、医師が「この患者さんは食事や運動療法を頑張りそうな努力家だから、本物の薬を投与して良い結果を出そう!」という戦略を無意識的または意図的に取ってしまう可能性があるからです。

 

 そのため、「二重盲検ランダム化比較試験」は、実際の結果に近い結果が得られると言えます。

 

 ただし、研究には「絶対」は存在しません。

 

 しかし、この論文は信頼性の高いものだと思います。

 

 注意点としては、日本では通常は維持量として5mg1日1回が推奨されています。「効果不十分の場合には10mgに増量可能」と記載されていますが、具体的にどのような効果が不十分なのかは明示されていません。糖尿病や慢性心不全の悪化が続いている場合なども考えられます。

 

 結論をもう一度言います。

 

「糖尿病の有無に関わらず、フォシーガ10mgを服用している心機能がほぼ正常な慢性心不全の患者において、急性心不全による入院または死亡率の複合的なリスクが低下しました。」

 この結論が得られました。

 

 やったー!!!

 

 

 

 

(2回目)

 

 

 

 

(3回目)



 

 

 糖尿病の有無に関わらず、一般的な慢性心不全の治療を受けている方々に対して、「フォシーガ」や「ジャディアンス」を投与しない理由がますます少なくなってきていると思われます。

 SGLT2阻害薬についてまとめると、これらの薬は尿から糖質を排出することで血糖値を下げる効果があります。また、体重減少、血圧の低下、尿酸の低下、肝機能や腎機能の保護、心臓への負担の軽減などの効果もあります。

 

以下に各薬の適応疾患をまとめました。

 

主なSGLT2阻害薬

【フォシーガ(一般名:ダパグリフロジン)】
適応疾患:1型糖尿病2型糖尿病、慢性心不全(糖尿病の有無に関わらず)、慢性腎不全(糖尿病の有無に関わらず)

 

【ジャディアンス(一般名:エンパグリフロジン)】
適応疾患:2型糖尿病、慢性心不全(糖尿病の有無に関わらず)
※近々、慢性腎不全(糖尿病の有無に関わらず)が適応疾患に追加予定です。



 

 ってことで、またまた偉そうに論文のまとめをしてみました🔥

 

 患者様の健康寿命を伸ばすために、常日頃から知識のアップデートは必要。

 

 開業準備で非常に忙しかったけど、勉強は欠かせない。

 

 医療の勉強のみならず、実は経営的な勉強も必要…。

 

 一生勉強!!!

 

 一生青春、これは…。

 

 ではまた、勉強会ブログ上げます!

 

 引き続きよろしくお願い申し上げます!

 

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【ついに迎えた開院。2023年7月1日 新宿内科 糖尿病・生活習慣病クリニック。懇切丁寧に患者様の健康寿命を伸ばす所存です。】

この度、2023年7月1日「新宿内科 糖尿病・生活習慣病クリニック」を160-0022 東京都新宿区西新宿7丁目10-3 第二雨宮ビル5階にオープン

精進してまいります。

 

 

 

 

 

 

 

 

「新宿内科 糖尿病・生活習慣病クリニック」第二雨宮ビル5階
JR新宿駅出口より徒歩3分
160-0022 東京都新宿区西新宿7丁目10-3 第二雨宮ビル5階
看板は、手作り!!

 

 

 

 

 今後たくさんの患者様に「新宿内科 糖尿病・生活習慣病クリニック」を知って頂き、しっかりと糖尿病・血圧・脂質を筆頭にデータを改善して頂き、将来的な「心筋梗塞脳梗塞・透析レベルの腎障害」を減らしていきたい。

 

 いや、冗談抜きです。

 

 綺麗事ではなく、私ができることはそれのみ。

 

 「ダメ、ゼッタイ!糖尿病・生活習慣病の健診結果異常の放置プレイ!」

 

 

 

 

ダメ、絶対!糖尿病・生活習慣病の健診結果の放置プレイ!

 

 

 

 

 しかしながら、開業医のみならず起業(サロンや飲食店など)もそうだと思いますが、アクシデントというものはつきもので、シミュレーションを重ねてきたからこそ、現段階では上手く患者様を困らせずに済んでいる。

 

 「どこかで、困るアクシデントが発生する。」と先輩方は皆おっしゃります。

 

 先輩開業医からすると、以下が鉄板のアクシデントとのことです。

 

電子カルテ、院内医療機器のシステム障害
・スタッフの急な欠勤、退職(ここがかなり、悩むそうです。)
・プリンターの故障(これも地獄だそうです。処方箋が出ない…)
・血液検査結果が電子カルテに反映されていない。(完全に終了です。糖尿病内科では…。血液検査が命…)
・院長が辛すぎても休めない(これは、どう考えてもそうですね…。)
・内科だと1年間は地獄くらい患者様が来られなく、1日0人もあると。精神がかなり苦しいそうです。
・患者様が待ち時間に切れて、院内の壁を蹴って暴れて警察沙汰…

 

 そんなこんなでこれから試練が待っているでしょう。

 

 しかし、諦めない。患者様のために自分の健康管理はもちろんのこと、これまで培ってきた知識、経験。

 

 私、松谷 大輔は「患者様にこれまでの糖尿病・生活習慣病治療の知識を還元したい。」

 

 あっ、医師も人間。ちょっと偽善すぎですね。いや、でもホントにデータは良くしたい。無茶苦茶、糖尿病・生活習慣病専門の内科医は細かくてうるさい。(いい意味で?)

 

 

 

 

偽善、「ダメ、ゼッタイ」



 

 

 患者様の血液・尿データが良くなったら、本当に「僕の使命は果たせた」と思います。

 

 正直に正直に正直に言います。

 

 まじのまじのまじで、糖尿病・生活習慣病を放置すると、「しっぺ返しと言う名の、心筋梗塞脳梗塞、透析含む腎障害、失明」が待ってます。

 

 かなり、話しやすく軽い診察ですけど、しっかり治療する自負はあります。

 

 プライベートは別ですが…。(お酒が好きなだけです。同じ人間ですので…土下座)

 

 それはいいとして、開業しました!船は出港しました!

 

 引き続き、精進して参ります!

 

 応援の程何卒よろしくお願い申し上げます。

 

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【まずは「膵臓移植」の種類を知ろうの巻🥷!】

一度は膵臓移植」という言葉は聞いたことがあると思います。その種類には何種類かあります。今回は「膵臓移植」の説明をしようと思います。今後は膵臓のドナー数も増えレシピエント(移植を受ける人)との検査値が問題なければ実施されることになります。今後の糖尿病治療、特に1型糖尿病の治療として期待されると思っておりますので、糖尿病内科医として期待してます。

 

 膵臓移植について説明致します。

 死蔵移植(デッド・ドナー・トランスプラント)は、提供者が脳死状態にある場合に行われる臓器移植手術の一種です。

 

 提供者の臓器は、死亡後すぐに摘出され、特別な保存方法で保管された後、移植手術の受け手に移植されます。

 

 膵臓移植は、提供者から受け手に膵臓を移植する手術です。膵臓は、インスリンと消化酵素を生産する重要な臓器であり、インスリンは血糖値の調節に必要」です。

 

 膵臓移植の方法には以下のような種類があります。

 

膵臓移植

 提供者の全膵臓が受け手に移植されます。

 

 この方法は、膵臓の機能を完全に回復させることができます。

 

 長所としては、受け手の糖尿病が完全に治癒することや、インスリン注射の必要性がなくなることがあります。

 

 しかし、提供者の臓器が限られており、移植の成功率が他の方法と比較して低いことが短所です。

 

 

 

 

膵臓移植

 

 

 

 

膵島移植

 提供者の膵臓からβ細胞の集まりである膵島を分離し、受け手に移植します。

 

 膵島に含まれるβ細胞はインスリンを生産するため、糖尿病の治療に効果的です。

 

 膵島移植の長所は、膵臓全体を移植する必要がないため、提供者の臓器がより効率的に利用されることや、移植の成功率が高いことです。

 

 短所としては、膵島の移植は技術的に難しく、受け手は免疫抑制薬を終生服用する必要があることです。

 

 

 

 

膵島移植

 

 

 

 

 米国などの医療先進国では、主にこれらの膵臓移植方法」が行われています。

 

 これらの手術は、糖尿病の合併症や重度のインスリン依存症の患者に対して、生活の質を改善するための治療オプションとなっています。

 

 ただし、「移植は高度な手術」であり、提供者の臓器の供給が限られているため、移植を待つ患者が多く存在します。

 

 

 

 

(例)膵臓ドナーを待つ人

 

 

 

 

 また、免疫抑制薬の使用による副作用や合併症のリスクもあるため、患者は移植後も終生的な医療管理が必要となります。

 

 

 

 

免疫抑制剤が一生必要な可能性も



 

 

 総括すると、膵臓移植は、糖尿病患者の生活の質を向上させるための有効な治療法ですが、手術の複雑さや提供者の臓器の限定性、免疫抑制薬によるリスクといった要素も考慮する必要がある」ということになります。

 

 医療の進歩と臓器提供の増加により、膵臓移植の成功率や患者の生存率は向上していくことを期待しています。

 

 日本では、まだまだ「全膵臓移植」「膵島移植」が浸透していませんが、近い未来に、「膵島移植」では自分の残された膵臓の細胞を用いて再生医療として免疫抑制剤も不要な「自分の幹細胞移植としての膵島移植」が1型糖尿病患者様の生命予後が良くなることを心から祈ってます。

 

 なんて、勉強してみました。

 

 1型糖尿病患者様の辛さを知っているつもりなので早く実現していただきたいなと思った次第です。

 

 今後の医学の著しい進捗に遅れていかないように最新の治療を患者様に情報提供し、精進して参ろうと思っている今日このごろでした。

 

 開業準備でブログの頻度が減っていますが、論文は待ってくれません。

 

 

 

 

論文は待ってくれない

 

 

 

 

 勉強を常にし、医学の知識をアップデートして参ります。

 

 新宿で糖尿病・生活習慣病クリニックは、、、、

 

 そう!「新宿内科 糖尿病・生活習慣病クリニック!!」

 

 それではまた会いましょう!

 

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