〜2型糖尿病について、専門用語を控えて解説〜
ご存知、2型糖尿病の主な原因は「肥満」です。
肥満に加え、「過去の肥満時代、遺伝、ステロイド(関節リウマチなどで使う免疫抑制剤。プレドニン、プレドニゾロン、デカドロンという薬も同じ)などの薬剤」も要因となります。
まずは「肥満」で、何故糖尿病となるのか?ここを理解することが重要となります。
肥満では当然、「脂肪」が多くなりますが脂肪の中でも、「お腹ぽっこり」となる内臓脂肪が「2型糖尿病」になりやすいとされています。
「脂肪」は、膵臓から出ている血糖値を下げるホルモンのインスリンの「邪魔」をします。
つまり、脂肪はインスリンの「大敵」ということになります。
「インスリン v.s 脂肪の戦い」が毎日毎日、体の中で行われてます。
「やや肥満」のときは、「脂肪は、まだちょっとしかインスリンの邪魔をしてきません」
ですので、「膵臓はいつもより少しアクセルを踏んでインスリンを多めに出す」ことで「脂肪に勝利、つまり血糖値は正常に保たれます」
しかし「脂肪がかなり増加」してくると、「脂肪の邪魔レベルが最強」となります。
そうなると、膵臓は「脂肪に勝つために、血糖値を下げなければ!インスリンをいつもより多く出すぞ!」と軽くアクセルを踏んでいる状態から、「アクセルを最大限に踏んでインスリンを大量に出すことで、ギリギリのところで脂肪に打ち勝つ」のです。
ここまでが、「なんとか糖尿病を発症していない(糖尿病予備軍)の段階、崖のせとぎわ」です。
その先は、ご想像の通り「膵臓」と言う名の「エンジンがオーバーヒート」してしまいます。
アクセルを最大限に踏んでいるのにも関わらず、「血糖値を下げるインスリン」が出なくなります。
「アクセル全開で、時速30km/時しか速度が出せない状態」となります。
この段階で初めて「2型糖尿病」を発症します。
そういうこともあり、日々糖尿病診療をしている先生方は「痩せて下さい」と説明をするわけです。
ここまでの解説で「脂肪に勝つ戦略」は、糖尿病の理屈を知ってしまえばシンプルです!!
【脂肪に勝つ戦略】(基本編)
(患者様により治療の順番が前後します。これは糖尿病内科医の手腕となります。)
作戦①「食事運動療法」で、「脂肪の邪魔レベル」を取る。
最初は出来る限り、食事制限やウォーキング(20分以上歩かないと脂肪は減らない)などで血糖値がどれだけ下がるのかを経過をみます。
作戦②「脂肪の邪魔レベルと取る安全な薬」を処方
イメージとしては、「脂肪はなかったことににする薬=メトグルコ先生」の登場です。[メトグルコ=メトホルミン(後発品)] 医学的には「インスリン抵抗性改善薬」と言います。「自分の膵臓から出ているインスリンの効きを良くするお薬」とも言えます。(この薬がなければ糖尿病内科医はかなり困ります。)
作戦③(順不同。ここからの治療は糖尿病医師の手腕)
A:血糖値が高い時だけ尿から糖質をあえて出すAI機能付きの安全なお薬を処方作戦
根本から敵である「脂肪」を削ぎ落とします。(予後を改善する医学的根拠ありのお薬:ジャディアンス®、カナグル®、フォシーガ®)
(※膀胱炎を繰り返している患者様は尿に糖質が増え、菌が増殖するため適宜処方するかどうかを考えます。)
B:胃の動きをゆっくりにして満腹感を出し「脂肪」を減らす最新のAI機能付きのお薬を処方作戦
胃腸の動きをあえてゆっくりにすることで、満腹感が持続し海外の医学的根拠の高い論文で明らかに減量することが証明されているお薬を処方します。(予後を改善する医学的根拠ありのお薬:オゼンピック®、リベルサス®、ビクトーザ®など)
C:膵臓からのインスリン量を自動調節するAI機能付きの安全なお薬を処方作戦
実は、予後を改善する医学的根拠のないお薬です。しかし、安全に血糖値が下がるので「非糖尿病内科医はよく処方をする」お薬となります。(トラゼンタ®、テネリア®、エクア®、ジャヌビア®、グラクティブ®など)
この段階で、血糖値が下がらない場合は「2週間程度の入院で効率的に血糖を下げる作戦」をオススメし、健康寿命の延長に繋げます。
以上のことから、まず「患者様」と「医師」でチーム一丸となり治療すれば血糖値は低下します。
最後にしつこいようですが、「血糖値は早めに下げて膵臓を休ませてあげて、その間にダイエットや食事の改善に取り組む」
これが、最適な答えとなります。
何度も車に例えて申し訳ないとは思います。
「車検は定期的に行い整備という名の治療をするのにも関わらず、健康診断の結果で異常値が出ても病院で整備という名の治療をしないのは、不思議」と医師の私としては思います。
健康診断の異常値を放置することがどれだけ危険なことかを周知できていない、私達 医療従事者の責任と日々感じます。
怖いことはありません。
つまりエンジンが故障する前にキレイなガソリンつまり、「きれいな血液にすること」が何より大事な事です。
ささやかなお手伝いしか出来ません。しかし、重大なことなのでここに記載させて頂きました。
少しでも異常値がでましたらご遠慮なく、クリニック・病院に勇気を持って行くことです。
頭ごなしに怒ったりしないです。そんな医療が正しくないと分かっているからです。
是非、肩の力を抜いてご来院ください。
新宿内科 糖尿病・生活習慣病クリニック(新宿駅徒歩3分・西新宿駅徒歩2分)
統括院長 松谷 大輔拝
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