収入によって「急性心筋梗塞、脳卒中、心不全、下肢切断の入院率が変わるのか!?」を解析した論文を紹介!(米国トップクラスの糖尿病専門医学雑誌 Diabetes Care 2023年4月1日論文より)
【研究方法】
カナダのオンタリオ州における糖尿病患者 約170万人を対象に1995年から2019年までの急性心筋梗塞、脳卒中、心不全、下肢切断の入院率を計算した。
(※後ろ向きコホート研究だが、170万人での解析の為エビデンスレベルは高め)
【良い結果】
・心筋梗塞による入院率は、所得に関係なく減少していた!
しかも1995年から2019年にかけて入院率が半分も減っていた!
→これは素晴らしい🔥
【考えさせられる結果】(↓の図参照)
「貧富の差が、糖尿病患者の将来の運命を分けてしまう」という結果に…。
①「裕福層💴糖尿病患者」の急性心筋梗塞、脳卒中、心不全、下肢切断の入院率は1995年から継続してすべて減少⏬していた。
②一方、「貧困層🍂糖尿病患者」の脳卒中、心不全、下肢切断の入院率は2010年頃より増加⏫していた…。
【考察】
なぜこの様な結果になったかは、「更なる研究が必要となる」というのが答えになりますが、糖尿病患者 約170万人もの大量の人数での解析でこの結果は「医学的根拠は高め」と判断せざるを得ないかと思っています。
解析方法は「後ろ向きコホート試験」であり、解析方法としては「中の中〜上」くらいですが、170万人という超大規模な人数の結果なので、「論文の信用度はやはり高め」と私は思います。
日本は「国民皆保険制度」のおかげで皆が比較的平等に高品質な医療を受けられるので、この論文の結果とは違うとは思います。
海外の貧困層は任意の医療保険には入らず、糖尿病になっても病院で金銭面で治療を受けることがなかなか出来ないため、重症疾患で緊急入院する比率が多いかと思います。
また、食事に関しても貧困層ほど安価な炭水化物メインの食事となるため、血糖値は上昇しやすく肥満にもなりやすいと言われています。(例:マクドナルドなどは、レストランより安価で炭水化物は多い)
この論文からのメッセージは賛否両論はあるとは思いますが「国民皆保険制度が、日本人の健康寿命を伸ばしており、健康の面では他国と比較して平等な国」ということかと思います。
当然、日本でも収入差はあるため、将来的な健康状態は変わってくると思います。
しかし、「食事の工夫や、無料でできる運動」を本気で取り組もうと思えば重大疾患を避けられると思います。
糖尿病薬の中でも「治療効果が高く、安全に予後を改善するお薬は値段が高い」ため、国民皆保険制度を導入している日本ですら、予後が変わってくることは医師の本音ベースでいうと「あるとおもいます。」
すみません。
社会的に非常に考えさせられる論文ですが、貧困層の方で糖尿病になってしまったとしても「早い段階で食事代の節約とともに食事バランスも考え、一生無料の運動(ウォーキング)をすることで血糖値を低下させ、将来的に重症疾患にならないことも可能」と私は思います。
「ペンは剣よりも強し」
現代は、昔と違い「正しい医療知識」をインターネットで学べる時代です。
医師も勉強しないと治療レベルが落ちていきます。
共に「糖尿病」と戦いましょう。
なんて、偉そうなことを言ってみたのでした。
以上!
新宿内科 糖尿病・生活習慣病クリニック(新宿駅徒歩3分・西新宿駅徒歩2分)
統括院長 松谷 大輔拝
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