糖尿病内科医の備忘録

〜心筋梗塞・脳梗塞にならない知識🖋を届ける〜

脂質を下げないサプリ、しかも高価。まだ飲みますか?権威のあるアメリカの医学論文JACCより:「サプリ vs スタチン(=悪玉コレステロール下げる安全な薬)」:心臓病学における新たな選択肢に挑戦した論文

サプリが高価で、如何に「悪玉コレステロール値を低下させないか」という論文

【結論】:サプリメントは悪玉コレステロール値を下げないだけで、高価なだけ説

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

youtu.be

 

 

 

脂質サプリメント:「悪玉コレステロール値の低下には無意味」説濃厚

 

 

 

 

 最新の研究によれば、アメリカではサプリメント市場が50億ドルにも達しているそうです。サプリに頼りすぎ…。。。どんだけ安全な医薬品を信じないのか…?

 

 

 

 

 

 

 

 そこで、Cleveland Clinic Foundation(クリーブランド・クリニック財団)のNissen氏らが行った研究が興味深いものでした。

 

 

 

 ちなみに、JACC*1(=Journal of the American College of Cardiology)というアメリカ医学論文雑誌は、非常にレベルの高い医学論文雑誌です。

 

 

 

 この研究はASCVD歴 [動脈硬化性心疾患=ASCVDは「動脈硬化性心疾患」(Atherosclerotic Cardiovascular Disease)の略で、心臓と血管に関連する動脈硬化性疾患の総称です。)] がない患者を対象に行われました。

 

 

 

 LDL-C(=悪玉コレステロール値)(低密度リポタンパクコレステロール)が70~189mg/dL(正常低値〜異常高値)で、今後ASCVDの10年リスクが高い成人190名を対象に、スタチン薬であるロスバスタチン(=クレストール®先発品)プラセボ、そして魚油、シナモン、ガーリック、ターメリック、植物ステロール、紅麹の6つの栄養補助食品の影響を比較したRCT(ランダム化比較試験=レベルの高い試験)です。

 

 

 

 プラセボとは、実際には治療効果のない「偽薬や効果のない薬物」のことであり、参加者が実際の治療を受けているかのように錯覚させるために使用されます。

 

 

 

 結果は驚くべきものでした。図を見れば一目瞭然…。一番左が、安全な医薬品のスタチン(=ロスバスタチンです。その他にアトルバスタチン、ピタバスタチンなどを飲んでいる方が多いかと思います。)

 

 

 

 

 

安全性が証明されたロスバスタチンを拒否する患者
v.s
中身が本物なのか全く証明されていない謎のサプリを飲む患者

「医師は理解に毎日苦しんでいる。」

 

 

 

 

 ロスバスタチンは、LDL-Cを他のすべてのサプリメントおよびプラセボよりも大きく低下させたとのこと(率差:-35.2% [P<0.001])。

 

 

 

 一方で、栄養補助食品はどれもプラセボと比較してLDL-Cに有意な変化をもたらさなかった。

 

 

 

 安全性に関しては、各群での有害事象の発生率には差が見られなかった。安全には統計的な差がないのに、サプリメントを選ぶ患者…。理解ができない日々…。

 

 

 

 一般に、サプリメントの効果には疑問符がつくことが多い」。

 

 

 

 この研究は中規模RCTを通じて「LDL-Cを下げるならスタチンが有効で、サプリメントはあまり効果的でない可能性がある」と結論づけた。

 

 

 

 ただし、JACCの編集者は、「全ての栄養補助食品を軽視するのではなく、有益なものを選び抜くべきだ」と指摘している。これには将来の研究や医学的な検証が必要だろう。

 

 

 

 難しいのが、このコメントだ。「有益なものを選ぶべきだ。」

 

 

 

 そういうことを書くのも重要だと個人的には大事と思うが、「さっぱりサプリメントを信用できない」…。。。

 

 

 

 そもそも、「医師ですらわからないサプリメントの効果を患者が理解し、取捨択一できるわけがない」。そう思います。

 

 

 

 もし心臓病学に関心があるなら、今回の研究結果は一読の価値あり。

 

 

 

 サプリメントとスタチン、どちらが選択肢として優れているのか、これからの展開が楽しみだ。

 

 

 

 以上!!!

 

 

新宿内科 糖尿病・生活習慣病クリニック

新宿駅徒歩3分・西新宿駅徒歩2分)

統括院長 松谷 大輔拝

 

 

 

【クリニック情報】

ホームページ

shinjuku-naika.clinic

ネット予約

当院の強み

診療案内

アクセス

医師紹介

お問い合わせ

*1:

JACC(Journal of the American College of Cardiology)はアメリカの心臓病学に関する権威ある医学雑誌であり、その重要性と影響力は医学界で高く評価されています。以下に、JACCのアメリカの雑誌としてのすごさとインパクトファクターのレベルについての補足説明を加えます。

権威ある心臓病学の雑誌: JACCは心臓病学に焦点を当てた総合的で高度な学術的内容を提供する雑誌として知られています。そのため、心臓病学の専門家や臨床医、研究者にとっては重要な情報源となっています。

ピアレビュー(査読)制度の厳格さ: JACCは査読制度を採用しており、専門家による厳格な査読を経た論文のみを掲載しています。これにより、高品質かつ信頼性のある研究成果や臨床情報が読者に提供されています。

インパクトファクターの高さ: インパクトファクターは、ある雑誌が引用される頻度を示す指標であり、その雑誌の影響力を示すものです。JACCはその高い学術水準と品質により、インパクトファクターが高いことで知られています。高いインパクトファクターは、多くの研究者や医療専門家からの引用を意味し、学術的な重要性を示しています。

国際的な認知度: JACCはアメリカを超えて国際的にも高い評価を受けており、世界中の心臓病学の専門家が寄稿する場としても知られています。そのため、世界中の最新の研究成果や治療法が集約され、広く共有されています。

JACCの存在は、心臓病学において重要な情報発信源となっており、その影響は学術的な進歩や臨床実践に大きな寄与をしています。